派遣や契約での働きを進めるこの動きに、耳当たりの良い言葉で若者を食いつぶすという声も上がっている。だが、労働基準法が遵守されなかったり、長時間労働が当たり前となっている企業が数多くある昨今。若者の選択肢が増えることに好感の声が上がっているのも確か。
「週休4日で月給15万円」。そんなゆるい就職が若者を中心に支持を広げている。ブラック企業など長時間労働や若者の使い捨てが社会問題になる中で、一石を投じることができるだろうか。
ゆるい就職をプロデュースする若新雄純氏は、慶應義塾大学の特任助教で、NEETの代表取締役会長。新卒の学生から25歳くらいまでの若者を対象に、既存の価値観に捉われない働き方を提唱している。また就職支援サイト「ゆるい就職」を運営するピースタイルが行う、ゆるい就職の説明会は全て満席。週3日勤務で月給15万円の派遣や契約社員等の仕事をマッチングし、若者の新しいワークスタイルの実践をサポートしている。
それでは、ゆるい就職で働く若者は、与えられた時間をどのように使うのだろうか? 説明会で行われる討論会では、起業や資格取得などの前向きの声が上がっている。自分のやりたいことと並行して働けることに魅力を感じる若者が多くいるようだ。
ただ中には、若者に派遣や契約での働きを進めるこの動きに、耳当たりの良い言葉で若者を食いつぶすという声も上がっている。しかし、労働基準法が遵守されなかったり、長時間労働が当たり前となっている企業が数多くある昨今。若者の選択肢が増えることに好感の声が上がっているのも確かである。
後期高齢化社会に突入した日本では、今後労働力人口が減少を続けていく。安倍内閣では女性の活用を進めているが、フレックスタイムの導入が上手くいかないなど、柔軟な働き方がなかなか実現していない。ただ現在、企業の人手不足感を背景に求人倍率も軒並み回復を続け、売り手市場となっており、労働者の声が反映されやすい環境であると言えるだろう。「週休4日で月給15万円」。ゆるい就職が広がることで、閉塞した日本の就労環境に風穴を開けるかもしれない。(編集担当:久保田雄城)