建設業をはじめ、小売業、外食産業など、幅広い業種で「人手不足」が広がっている。企業業績が好転する一方、「人手不足」は「職人不足による工事の遅滞や中止」、「製造現場での従業員不足による生産の遅れ」、「外食産業での営業時間短縮や店舗閉鎖」など、幅広い産業に波及し、「求人難」による倒産も発生しているという。
株式会社東京商工リサーチでは、これまでも「人手不足」関連倒産を集計していたが、主に代表者死亡や入院などによる「後継者難」型、経営幹部や社員の退職に起因した「従業員退職」型が中心だった。だが、最近の「人手不足」の深刻化に伴い「求人難」型もみられるようになった。
9月の「人手不足」関連倒産は29件。この内訳は、代表者の死亡や入院などによる「後継者難」型が27件、「従業員退職」型が2件、「求人難」型はゼロ件だったという。
2014年1~9月累計の227件では、「後継者難」型が201件(前年同期179件)、「求人難」型が17件(同10件)、「従業員退職」型が9件(同13件)になった。事業継承の課題が深刻化していることを背景に「後継者難」が圧倒的だが、「求人難」型の今後の動きが注目されるとした。
また、最近の倒産で人件費高騰による負担増から資金繰りが悪化したケースも出ている。「人件費高騰」が影響した倒産は、2014年9月は1件発生し、2014年1-9月の累計は17件(前年同期7件)になった。人手不足や人件費高騰が中小企業を中心に経営の足かせになってきたと同社ではみている。
筆者は地方都市の出身で、しょっちゅう帰郷している。しかし、これまではその地方都市では首都圏などにくらべあまり人手不足という実感がなかった。ところが、最近は「人手が足りない」、「高齢者でも雇用したい」という声をよく耳にするようになってきた。人手不足は確実に広がり、そして深刻化している。 (編集担当:慶尾六郎)