富士重工業が、航空宇宙カンパニー半田工場のボーイング787型機中央翼組立ラインを増設し生産を開始したと発表。今回の増設は、月産10機への増産に向けたものだという。
今回の増設は、ボーイング787型機中央翼の組立ラインを2ラインから3ラインへ増やすもの。新ラインは既存ラインと同様に中央翼組立、主脚収納部との一体化、塗装ブース、システム艤装の各工程を有し、ボーイング787型機の派生型である胴体延長型機(787-9)の生産開始にも対応する。
ボーイング787型機は、機体構造の50%に炭素繊維複合材を採用する最新型の旅客機。その中でも、同社が開発・製造を担当している中央翼は、炭素繊維複合材とチタン合金が主体の構造となっており、主翼と胴体を結合するという高度な設計技術と製造技術が要求される機体構造の心臓部となる。
新興国市場での旅客・貨物量の増大、既存老朽機の更新、低燃費要請による新型機需要の増加などを背景として、中長期的に順調な成長が見込まれている。日本公庫総研レポートによると、その市場規模は今後20年間で約3兆5900億ドル増加し、機数ベースでは年平均3.3%の成長を続けるという予測もあるという。そうした中、最新型の旅客機であるボーイング787型機も世界的に受注が好調に推移している。この好調さをどこまで日本企業が享受することができるのか。日本の技術力・開発力に期待が高まるところであろう。