2015年10月から施行されるはずであった低年金者への給付金支援が増税延期の影響で予算が間に合わず再検討を余儀なくされ当分先送りとなった。今回の救済措置は、13年度10月から始まった年金特例水準の解消の影響を考え施行されようとしていた。
2015年10月から施行されるはずであった低年金者への給付金支援が増税延期の影響で予算が間に合わず再検討を余儀なくされ当分先送りとなった。正式名称を年金生活者支援給付金の支給法案という今回の救済措置は、13年度10月から始まった年金特例水準の解消の影響を考え施行されようとしていた。
その内容というのは、住民税が非課税で年金を合わせた収入が少ない年金受給者に対して月額5000円の支援金を給付するというもので、対象者は障害基礎年金と遺族基礎年金の受給者も合わせると約790万人と推察された。
法案先送りの最大の理由はひとえに増税の延期である。14年度の消費税増収を5兆円と見込みそのうち5000億円を社会保障の充実と安定(年金制度の改善、子育て支援の充実、医療介護の充実)に充てるとしたが、安倍首相が14日に来年10月に予定されていた消費税の引き上げを1年半延期し17年4月から施行するという意向を発表した。それにより当然見込んでいた税収は激減し、予算を優先的に待機児童の解消などを目的とした子育て支援を当初の予定通りに動かすために充てられた。
増税延期に伴い「具体的な予算編成は優先順位をつけてやらざるを得ない」(麻生財務相)とし、財源確保が難しい年金は後へと回されることとなった。また、同時に年金受給資格に必要な期間を25年から10年に短縮する施策も実施されている。これによって期間が不足して年金を受け取れなかった人が受け取る資格を得ることができるというものであるが、これも消費税増税による収益を主な財源としているので、果たしてこれから継続していけるかどうかの先行きは不透明である。
年金特例水準解消と消費税増税を考慮した今回の低年金者支援政策であるが、増税とともに延期したのであれば特例水準解消による年金引き下げ分の負担はダイレクトに家庭に響く。物価が上がり、家計を圧迫している中で煮え切らない態度をとり、はてには解散を叫ぶ政府にあきれる国民も少なくはないだろう。(編集担当:久保田雄城)