ドラッグストアコスメの登場によって、日本の化粧品市場では二極化が加速している。矢野経済研究所が10月に発表した「化粧品市場に関する調査結果 2014」によると、2013年度の国内化粧品市場規模は、ブランドメーカー出荷金額ベースで前年度比101.3%の2兆3200億円と2年連続で成長を遂げていることが分かった。
商品単価2000円以下のいわゆる低価格帯では、とくにオールインワンのスキンケア商品やシートパックが好調で市場を牽引しているほか、まつ毛ケアなどのアイメイク商品やBBクリームなどにおいて、従来の中価格帯の顧客層が低価格帯商品に傾倒して需要を拡大しているとみられている。
一方で、単価6000円以上の高価格帯商品も景気の高揚感を背景に好調に推移した。また、資生堂のクレ・ド・ポー ボーテ、コーセーのコスメデコルテなどの国産ブランドの高級ラインや、イヴ・サンローランやシャネル、ランコムなどの外資系高級人気ブランドが積極的にBBクリームやCCクリームなどの新商品を投入したことで、高価格帯の化粧品市場にも時短メイクの波が一気に押し寄せたことが、好調の背景として考えられるだろう。
低価格帯の商品はドラッグストアなどを中心に拡がりをみせているが、面白いのは高価格帯の商品だ。これまで、高価格帯の化粧品といえば百貨店で購入するイメージが強かったが、近年ではインターネットの通販でも購入することができる。また、イオンモールが運営する日本最大級のショッピングセンター「イオン レイクタウン」では、2011年に外資高級化粧品ブランドを集めたコスメティック・セレクトショップ「コスメーム」を開業させて話題になるなど、高級化粧品がより身近になっているのだ。
さらに、これまで大手化粧品メーカーの独壇場のようになっていた高価格帯の市場に、品質を追い求める新規ブランドが参入し始めたことも大きい。たとえば、はちみつやローヤルゼリーなどミツバチ産品を扱うことで知られる山田養蜂場は、30グラムで32400円という超高級美容クリーム「ローヤルプレミアム ザ リッチクリーム」を5000個限定で発売しているが、これが人気を集めているという。同製品はクリームに美容成分を閉じ込めた「カードハウス構造」と呼ばれる製法で作られたクリームをベースに、1kgあたり約25万円もする貴重な岡山県鏡野産ローヤルゼリーを100%使用したローヤルゼリーエキスなど、6種類のローヤルゼリー由来成分を配合した贅沢な美容クリームだ。また、三大美肌成分といわれるコラーゲン、ヒアルロン酸、セラミド、さらにはキメの整った、透明感のある若々しい肌を演出するビタミンE微粒子カプセルやパールエキスを配合し、加齢による肌のくすみを気にする中高年世代の女性に好評を得ている。
最近では、高級ブランドの洋服を買うよりも、高級化粧品やスキンケア商品にお金をかける女性が増えているという。一時の流行に左右される商品よりも、そのお金で自分自身を磨くという選択は、ある意味正しいのかもしれない。(編集担当:藤原伊織)