高齢者の増加は市場にも影響を与えている。企業では需要の多くを握るシニア層を意識した取り組みが盛んだ。シニアに照準を合わせた商品の開発、販売路の拡大など、「シニアシフト」は今、小売業界全体の流れとなっている。
セブン&アイホールディングス<3382>が展開しているプライベートブランド「セブンプレミアム」もそのひとつだ。品目には高齢者が好む「肉じゃが」「さばの味噌煮」「野菜豆」などの和食を中心とした商品が並ぶ。核家族化が進み、一人暮らしをしている高齢者は増加傾向にある。一人分を調理するより、手軽にコンビニの惣菜を利用する人は多いようだ。
資生堂<4911>はシニア女性を対象とした化粧品ブランド「プリオール」を2015年1月に発売予定。「加齢と上手に付き合う」をテーマに、スキンケア、ベースメーキャップ、ポイントメーキャップ、ヘアの4部門で展開する。このうちヘア商品の8品のみ、11月から資生堂ウェブサイトの「ワタシプラス」にて先行販売を開始する。シニア女性の動向をとらえるため徹底的に調査を重ね、商品開発に生かしたという。
少子高齢化によって日本の人口は年々減少する一方、高齢者の割合は増加している。政府の統計によると1950年では65歳以上の高齢者の割合は総人口の5%にも満たなかった。しかし国が豊かになり医療技術が発達したことから70年には7%、94年では14%に達し、以降も上昇の一途をたどっている。
内閣府が発表した「高齢社会白書」では、2013年度の総人口は1億2,730万人で、65歳以上の高齢者は3,190万人となっている。このうち、65歳~74歳は1,630万人で、75歳以上は1,560万人。総人口に対する65歳以上の高齢者の割合は25%にものぼり、国民の4人に1人が高齢者ということになる。推計では25年で30.3%、30年で31.6%、35年で33.4%、40年で36.1%のペースで増え続けることが予測されている。これに伴いシニア層の消費支出も増加することが見込まれており、今後の個人消費の牽引力となる可能性が広がっている。(編集担当:久保田雄城)