シャープ、赤や緑を鮮明に映す8K用新技術を開発

2014年12月21日 12:51

 はたして今の若い人たちが、昔(たとえば、筆者が子供の頃であった20年ほど前)のテレビの画質を見たら、どう感じるのだろうか?画質そのものよりもまず、テレビ本体の大きさ、厚さに驚くかもしれないし、あるいはその画面の小ささに驚くかもしれない。もちろん、かつての画質とは比べものにならないほどきれいな今のテレビの画質に慣れ親しんだ若い人たちにとっては、その昔のテレビの画質は、もしかしたら筆者などが白黒テレビを見た時のような印象を与えるのかもしれない。それくらい、ここ20年間でテレビは大きく進化している。

 そしてその進化は、今なお止まろうとはしていない。ハイビジョンの4倍の解像度がある「4K」対応テレビ、そしてさらにフルハイビジョンの16倍の解像度がある「8K」対応テレビと、次々と新たなテレビが登場しており、もはやこれ以上美しい映像を実現するのは不可能なのではないか?そう思えるほどに新たな技術が開発され、それらを搭載した商品が続々と私たちの元へ届けられている。

 そして9日、家電大手のシャープ<6753>は赤色と緑色をより鮮明に表現できる液晶テレビ用のバックライトを開発したとの発表を行った。「8K」対応テレビに採用させ、2016年より開始される試験放送に合わせて商品化する。そして「8K」対応テレビに先行して、15年春以降から販売中の「4K」対応テレビに搭載させるという。またバックライトは他社にも供給する。

 現行のバックライトは青色発光ダイオード(LED)と黄色の蛍光体で構成されている。しかしこの方法では赤色や緑色などの色を表現するにはカラーフィルターに光と通す必要があったが、しかし今回シャープは青色発光ダイオードに赤色と緑色の蛍光体を組み合わせることに成功。これまで赤色と緑色の蛍光体を使用すると明るさが損なわれるという欠点があったが、それを改善。これにより「光の三原色」の波長がすべて含まれることとなるため、これまで以上に自然な色合いが表現できるようになった。

 こうして新たな改良が加えられ、ますます進化していくテレビ映像だが、はたして今からさらに20年以上たった時に、一体どのような映像体験が私たちを待ち受けているのか?もしかしたら今の「4K」や「8K」ですら古さを感じてしまうような、そんな新しい映像が生まれているかもしれない。(編集担当:滝川幸平)