高画質化の進化はとどまるところを知らない。ハイビジョン、4K、そしてついに8Kを超えるという技術が登場した。凸版印刷<7911>は18日、8Kを超えるリアルタイム生成映像出力を実現する高解像度・多画面対応型VR技術を開発したと発表した。
新技術は、リアルタイムに生成した8Kを超える高精細なVR映像を、大きさや解像度の異なるスクリーンを複数組み合わせた自由なレイアウトで上演できるもの。VRコンテンツの出力には、凸版印刷が独自に開発したVRコンテンツ生成のためのミドルウェア「トッパンVRエンジン」を機能拡張して搭載した、マルチGPU(Graphics Processing Unit)構成のワークステーションを採用している。
複数の投影装置に伝送される映像を、先進のグラフィックス性能とそれらマルチGPUを効率的に制御することにより、1台のワークステーションからフルHD(1920pixel×1080 pixel)の32倍となる高解像度な映像を出力。信号レベルでの高精度な同期を実現するという。また、ワークステーションを複数つなぎクラスタ化することで、コンテンツの特性に合わせた最適なシステムと投影レイアウトを構築することができ、文化財の形状や質感をより精緻に表現できるようになった。
凸版印刷は、印刷テクノロジーで培われたデジタル画像処理技術やカラーマネジメント技術、精確に形状をデジタル化する三次元計測技術を核に、文化財の高精細デジタルアーカイブに取り組み、そのアーカイブデータの公開手法として「トッパンVR」を開発。1997年から現在まで40作品を超えるVRコンテンツを製作してきた。文化財のリアルで精確なデジタル再現に向け、2006年に4K解像度によるVRコンテンツの製作を開始した。2007年より、東京国立博物館「TNM&TOPPANミュージアムシアター」をはじめ、博物館や美術館の大型展覧会などで4KVRを上演している。近年のプロジェクタなど出力機器の大幅な機能向上に伴い、さらに高解像度でVR上演を実現するための技術開発を進めてきた。
そして、今回複数の投影装置に伝送される映像を、信号レベルで高精度に同期。1台のワークステーションから高解像度な映像出力を開発した。これにより、複数のスクリーンを組み合わせた自由な投影レイアウトの構築が可能となった。
凸版印刷は今後、文化財の魅力を最大限に伝えるため、超高精細デジタルアーカイブデータを活用した8Kを超えるVRコンテンツの製作と、多様な上演スタイルに対応したVR上演を推進する。(編集担当:慶尾六郎)