2014年は異常気象や自然災害の多い年だった。震度6クラスの地震が頻発し、御嶽山の噴火、また日本各地では記録的な大雨やそれに伴う土砂災害なども相次ぎ、今もなお避難生活を強いられている方も多い。そして12月に入ってからは、東北や日本海側で記録的な大雪に見舞われている。
大自然の脅威の前では人間はあまりにも無力だが、一方では便利さばかりを追い求め、環境への配慮を欠いたことから地球温暖化などを招いたことによる人災という見方をする人もいる。日本ではとくに東日本大震災以降、環境への意識が高まっているが、地球温暖化防止をはじめ、環境への負荷が少ない生き方を選ぶことは、将来の地球環境のためだけではなく、現在の自分たち自身の生活を自衛する手段でもあるのだ。
環境への取り組みは様々な場面で行われており、各自治体などでも「環境賞」を設けている。たとえば、国際会議(気候変動枠組条約締約国会議)で取り決められた、世界で初めての地球温暖化防止のための国際協定「京都議定書」が採択された京都では、平成15年度から毎年、「京都環境賞」を選出して表彰しているし、神奈川県、新潟県、札幌市などでも同様の取り組みを行って、環境保全に貢献する個人、企業及び団体を表彰している。
埼玉県でも、県が住宅メーカーなど官民一体で活動している「埼玉県住まいづくり協議会」でも、2013年度から「環境住宅賞」を設け、環境への負荷が少ない住まいづくりや住まい方について、その工夫やアイデアに富んだ住宅や住まい手に対して表彰を行っている。
「建築部門」「リフォーム部門」「住まい手部門」「アイデア部門」の4つの部門で選考され、受賞対象はそれぞれ、建築主や設計者、施工者などの業者はもとより、県内に在住、在学、在職している個人も対象となる点がおもしろい。第二回となる今年は103作品の応募があり、最優秀賞には建築部門から、埼玉・森林公園の樹木に囲まれた南傾斜地に建てられた「森林公園の家」(HAN環境・建築設計事務所 松田毅紀氏、南澤圭祐氏、冨田享祐氏)が選出されたほか、優秀賞には建築部門の「KUMAGAYA SUMMER HOUSE」(伊藤裕子設計室伊藤裕子氏)、リフォーム部門からは「真冬に20度を下回らない家~光と風と断熱のデザイン~」(OKUTA LOHAS Studio 坪野藍氏)、アイディア部門では「長屋が魅せる次世代の暮らし」(桧家住宅伊澤博希氏、島元祐二氏)がそれぞれ選ばれ、「涼を呼ぶ熊谷の家」(ミサワホーム・ミサワホーム西関東)と「大宮ヴィジョンシティみはしの杜」(ポラス中央住宅+ポラスタウン開発)が特別賞に選出された。
優秀作品の素晴らしさもさることながら、こういう表彰制度は啓発も大きな目的だから、年々参加者が増えて活性化することを期待したい。ともあれ、2015年は災害などのない穏やかな年であってほしいものだ。(編集担当:藤原伊織)