小学校の英語授業の下級生移行で、少子化でも活況「子供英会話教室」

2015年01月04日 10:45

 文部科学省は2011年度から小学5年生から英語を「外国語活動」として必修とした。2020年度にはそれを3年生に引き下げて、5年生からは「外国語活動」から「英語・科目」に格上げする。つまり英語を教科として教え、成績を付けて生徒を評価することとなる。大学入試でも英語を「読む」「聞く」「書く」から「話す」能力を問う試験の導入が進むとみられ、会話力の強化・向上が一層求められる。

 こうした教育の変化を背景に小学生低学年児童を対象とした子供英会話教室・塾を展開する企業が増加している。

 学研ホールディングス(HD)は2015年春から小学生低学年児童向けのオンライン英会話教室を始める。海外在住の講師が「1対1」で指導し、小学生在学中に中学2年生程度の英会話力を付けるのが目標だ。学研独自の教材を使って、週2回で月謝6000円とリーズナブルといえる価格で提供する。

 学研は料金を抑えるため人件費の安いフィリピンで英会話学校を展開する東京・杉並の「キュウ急便」と提携。自宅とフィリピンの英会話学校をインターネット電話「Skype(スカイプ)」で結び通話しながら、25分間の授業で英会話を教える。設定した6000円の月謝は英語教室に通って個人指導を受ける場合の相場の25%ほどと破格。競合する「公文式教室」の1科目月6480円と競争できる価格設定だ。教育事業・出版社として長年培ってきたブランドを強みとして使いながら、塾費用として無理のない月謝で生徒を囲い込む。教材開発は立命館大学の陰山英男教授の協力・監修を受ける。文科省の指導要領に沿って英語を教える。

 学研HDは、2014年9月期の教育事業営業利益は前年に比べて微減。連結純利益は出版事業の低迷で前期17億円が3100万円にまで大きく落ち込んだ。このため文科省の方針でニーズが高まる子供向け英会話教室を立ち上げて増収益を狙うというわけだろう。

 塾大手の栄光HDでも小中学生向け「シェーン英会話」を今後3年で2割増236教室に増やす。同時に進学塾「栄光ゼミナール」に併設させることで、小学生から高校まで「栄光」に通う生徒を獲得するつもりのようだ。同じようにニチイ学館の子会社GABAは、GABAキッズを年2~3教室のペースで増やす予定だ。

 昨年、個人情報漏洩で問題となったベネッセHDも、昨年11月に子供向け英会話教室を運営するミネルヴァインテリジェンスを買収した。

 子供向け英会話教室は2010年に700億円規模だったが、2014年は1000億円規模(矢野経済研究所資料から)に成長。文科相の方針を受けて、少子化でも成長が見込める分野だと教育各社が期待を寄せる。(編集担当:吉田恒)