日本では少子化が大きな問題となっているが、それに反して教育費自体はどんどん高額になっている。一般的にも子ども一人当たりに掛かる教育費は1,000万円以上というのが定説になっており、塾や習い事など教育ブームは加熱する一方だ。
そんな中最近注目されているのがプリスクールである。プリスクールとはちょうど保育園や幼稚園に通う年齢の子ども達を預ける場所で、先生のほとんどは外国人。英語を話せる日本人スタッフも数名いるスクールが多いが、基本的に先生との会話はもちろん子供同士のコミュニケーションも全て英語で行う。つまり、日常生活の中に英語漬けとなる時間を設けることによって、少しでも早い段階から英語に馴染ませようというスクールなのだ。
最近の英語教育関連の研究では、単に音声や映像を視聴するだけでは不十分で、きちんと「聞いて、話して、相手の反応を確かめる」という段階を踏まなければ、なかなか英語力は鍛えられないということが明らかになっている。プリスクールは英語が達者ではない保護者でも、我が子にそのような環境を用意してあげられる有力な手段となっているのだ。
一方でプリスクールに通わせることによる問題点も指摘されている。上述したようにプリスクールではコミュニケーションのほとんどが英語オンリーで行われる。そのため、国語の読解力が育ちにくくなり、特に長文を読みこなす能力がプリスクールに通っていなかった子どもと比べて苦手になる傾向があるのだ。長文読解力が弱ければ、算数の文章問題など国語以外の教科で不利になる可能性もあり、親はこの点に十分配慮しながら子どもの教育を考える必要がある。
夫婦共働きが当然の社会となり、昼間幼い子どもをどこに、どのように預けるかは親の最大の関心事かもしれない。特にこれから子ども達が生きる世界では、英語力の重要性は更に高まることは間違いない。今後プリスクールも保護者からの多種多様なニーズに応えるべく長時間の運営や教育内容の充実を図っていくことだろう。子どもをバイリンガルに育てるにはかなりの努力が必要だが、その環境は徐々に整ってきている。(編集担当:久保田雄城)