経済的な結びつきを深めている日本とベトナム。今回、日本政府はベトナムの防災や初等教育についての、贈与計画の署名をした。署名された案件は二件。一つはベトナム中部のクアンナム省での、学校と地域での防災推進事業、もう一つは北部・中部の三省における少数民族の初等教育改善事業だ。どちらもNGOとの連携による無償資金協力で、供与金額は日本円で8200万円程度となる。
ベトナムは台風に襲われることが多く、中部に位置するクアンナム省は特に毎年多くの台風が襲来する。そのため洪水などの被害が多発しているが、防災教育などが不足しているため、災害の被害の拡大を防ぎにくい。日本はベトナムと同じように自然災害が多い国だが、地域での自主防災活動や防災教育が進んでいるため、東日本大震災の時に被害を防げた地域もあった。今回の支援事業は、こういった日本での経験をベトナムに伝える試みだ。教育と組織作りによって、地域での防災を促進していく。
またベトナムには多くの少数民族が暮らしているが、彼らが多数を占める省ではベトナム語を母国語としない子どもが多い。そのためベトナム語で行われる小学校の授業について行けない子どもが多数存在している。少数民族の初等教育改善事業は、こういった地域での教師トレーニングを行うものだ。ベトナムでは初等教育が整備されつつあるが、教育の地域格差は依然としてあるため、これを改善するための事業を提供する。
親日国として知られているベトナム。2013年には在日ベトナム人は64,000人を超え、現在も増え続けている。その背景には中国の脅威もあるだろうが、日本からの多額の円借款や資金協力、技術協力があることも忘れてはならない。国際協力は日本の義務だ。そして、その成果としてベトナムと日本の関係は強固になり、日本企業の新しいビジネスチャンスを生んでいる。今回の援助は8200万円程度だが、日本からベトナムへのODAは、11年には2000億円を超えている。無限ではない国庫からの支出には、細心の注意と計画が必要なのは言うまでもないだろう。(編集担当:久保田雄城)