国内で激しい競争を繰り広げるコンビニ各社の海外戦略

2015年01月07日 11:12

 激しい競争をしつつも、業界全体としては成長を続けるコンビニ業界。しかし、その実態は、大手4社がシェアの85%以上を占めるパイの奪い合いの様相を呈している。上位4社が2014年に発表した売上高はセブンイレブン・ジャパン3.78兆円、ローソン1.95兆円、ファミリーマート1.72兆円、サークルKサンクス0.98兆円。今後、日本国内では人口減少に伴い小売業界全体の規模縮小が懸念されており、それはコンビニ業界上位を占める各社にあっても危機意識を持って受け止められており、海外展開を積極的に推し進めている状況にある。

 業界1位のセブンイレブンは、国内約1万6千店舗に対し、アメリカに約8千店舗、タイに約8千店舗、韓国に約7千店舗など海外で3万7千店舗近くを展開しており、規模も大である。しかし、その大部分はマスターフランチャイジングを米セブン―イレブン・インク社と契約し、商標として利用しているにすぎず、日本型経営を「輸出」しているわけではないことには注意が必要だ。その結果、セブンイレブンブランドの海外店舗では、日本型経営店舗との売上高において負の格差が発生しており、同社は今後、日本式事業インフラを適用することを計画している。

 海外展開に最も注力しているのが、業界第3位のファミリーマートである。韓国に約6千店舗、台湾に約3千店舗、中国及びタイに約600店舗を展開するほか、ベトナム、インドネシア等アジア地域を重視してそのネットワークを広げている。さらに、長期的な事業戦略を策定し、2020年までには中国の店舗を8千店舗まで拡大する計画。日本式コンビニの海外進出で戦陣を切ったメリットを最大限に生かし、グローバルな展開を期している。

 一方、コンビニ大手で最も海外進出において出遅れているのが国内シェア第2位ローソン。日本国内の店舗数約1万2千に対し、中国での約400店舗、インドネシアでの49店舗、タイで31店舗、ハワイで4店舗と極めて低調である。

 国内シェアでは独走するセブンイレブンであるが、現在、海外進出に最も注力しているファミリーマートの存在は不穏に映るだろう。国内シェアにおいて、僅差に詰め寄られているローソンの危機意識は更に高いかも知れない。国内で期待できる利益は、将来的に縮小することがほぼ確定している以上、各社の海外進出の姿勢は今後更に積極化するものと見て良いだろう。その危機意識が、どこまで各社の海外戦略や資本・インフラの投下を促すのか。世界全体で見た場合、多国籍企業としての日本の小売業が成功しているとはいえない現状にあって、海外の「パイ」を求めて進出する尖兵としての役割を果たすのは、コンビニ業界となるかも知れない。(編集担当:八木新)