民主党は28日までに農業者戸別所得補償法案を国会に提出した。民主党は「農業者戸別所得補償制度は販売価格と生産コストの恒常的な赤字を全国一律単価で補てんすることで、農家所得の安定と着実な構造改革の両方を実現する制度であった。実施にあたっては新たな財源を国民へ負担を求めることなく、農林水産関係予算の組み替えによって行い、バラマキとの指摘はあたらない。農業の抱える構造的な課題に徐々に効果がでていた」と制度の必要と効果を訴えている。
民主党は制度導入によって(1)制度導入直後の2010年は米価下落の影響で稲作収入は下落を見込んでいたが、戸別所得補償制度のモデル事業を開始し、水田作の農業所得が前年比で37.3%増加したため、1経営体当たりの農業所得は17.4%増加した。
(2)2ha以下の作付面積の農家の場合、制度に加入した場合においてもコスト割れを起こしており、小規模農家よりも大規模農家にインセンティブが生じやすい制度設計となっている。そのため、総予算の約6割は耕地面積2ヘクタール以上の規模の大きな農家に配分されることになった。
(3)大規模化のメリットが働いたことで、それまで減少傾向にあった農地の権利移動面積の減少に平成22年に歯止めがかかり、平成23年から増加に転じ、農地の集約が着実に進んでいたなどの効果があったという。
そのうえで、安倍政権の下で「突然の交付金半減、将来的な廃止、生産調整制度の廃止などが続き、先行きの見得なくなった米価は史上最悪の下落を記録した。日本の農業が抱える課題を一歩前へ進めるため、戸別所得補償制度の復活が急務」としている。(編集担当:森高龍二)