訪米帰国後、翁長知事と再び会談を

2015年04月18日 15:43

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安倍晋三総理は26日からの訪米を前に、沖縄県・翁長雄志知事と17日、総理官邸で会談した。総理は冒頭「率直な意見交換をさせていただきたい」と語り掛けた

 安倍晋三総理は26日からの訪米を前に、沖縄県・翁長雄志知事と17日、総理官邸で会談した。総理は冒頭「率直な意見交換をさせていただきたい」と語り掛けた。

 続けた言葉は「沖縄はアジアの玄関口である」との考えを伝えるもので、沖縄の振興が日本にとって重要と考えていることを伝え「国家戦略として、沖縄を支援していく」との姿勢をまず示すことだった。

 そのうえ、安倍総理は「戦後70年が経っても、沖縄に米軍基地の大きな負担をかけている」と切り出し「少しでも沖縄の負担軽減を図っていきたい」と語った。

 そして「普天間飛行場の一日も早い危険除去への思いは沖縄も(政府と)同じだろうと考えている」と共感を求めた。

 普天間飛行場の危険除去という目指す目的において、政府も沖縄も共通していることを提起し「名護市辺野古への移転(代替施設建設)が(政府として)唯一の解決策であると考えている」と明確に示した。会談開始からここまで3分を待たない。安倍総理は、まずもって、最も伝えなければならない政府の意思を明示した。

 そのうえで、安倍総理は「これからも、我々(政府)は丁寧な説明をさせていただきながら理解を得るべき、努力していく」と翁長知事に語った。

 安倍総理は「沖縄の思いを聞かせて頂きながら、沖縄の未来をつくっていくために、政府としても一緒に歩みを進めていきたいと思う」と伝えた。

 抑止力を保ちながら、日米間の約束(辺野古への代替基地建設)履行と沖縄県民の心情を推し量りながらも、協力を得るため、最大限できることは協力するので、辺野古での建設計画には理解を願いたいという安倍総理の姿勢や立場がうかがえる話しぶりだった。

 一方、翁長知事は「忙しい中で会談時間を取って頂いたことに感謝します」と礼を述べたうえで、昨年の名護市長選挙、沖縄県知事選挙をあげ「ともに辺野古への新基地反対という民意が示された」と冒頭で、辺野古への代替基地建設に沖縄県民が「NO」を下したと淡々と語った。
 
 翁長知事にとって、安倍総理との会談目的は辺野古基地建設を残念させること、米国に沖縄県民の意思を伝えてほしい、そうした思いを直接に伝えることだった。

 翁長知事は「沖縄は自ら基地を提供したことは一度もございません」と付け加えた。常に安全保障政策において、米軍基地負担を不本意に負わされ続けてきた沖縄の立場を象徴する表現だ。

 そして「普天間飛行場も、それ以外の基地についても、自ら土地を奪っておきながら、世界一危険だから沖縄が負担しろ(代替基地を辺野古に作ることを認めろ)、嫌なら代替案を出せと言われても、こんな理不尽なことはないと思います」と思いの丈をぶつけた。

 今回の会談で、それぞれの立場と考えが示された。ただ、国の安全保障、日米両国の国家間の約束履行、沖縄県民への負担に対する配慮の視点から、冷静に仕切り直しをすれば、政府と沖縄は同じ立ち位置で、辺野古への建設問題に結論を得ることができるだろう。その場合、辺野古への代替施設が「新たな軍港」と化し、「沖縄に新たな負担」をもたらすことのないよう、政府として「明確な担保をすること」が必要だ。

 また、沖縄が果たしている安全保障上の役割の大きさを国民全員が認識するよう、あわせて、辺野古への代替施設建設に対する沖縄県民への感謝が国民全体に広がるよう、政府はハード面での沖縄支援だけでなく、ソフト面での政策が必要だろう。

 安倍総理がオバマ大統領との会談や米国上下両院合同会議での演説にも、安全保障にかかわる部分で、沖縄を表現することは大切なことになるだろう。帰国後の安倍総理が、翁長知事と再び会談する機会をつくることのできる訪米になることを期待したい。(編集担当:森高龍二)