セブン-イレブンなどコンビニ各社がドーナツ市場に参入する中、ダスキン<4665>が運営する「ミスタードーナツ」は、独特の食感の高価格帯商品を4月9日に発売した。高級路線を強化して差別化を図る戦略だ。
新商品「ブルックリン メリーゴーランド」は、クッキー生地とベーグル生地を何層にも重ね合わせた生地をねじりながらリング状にした「ハイブリッドスイーツ」。ザクザクとした食感ともっちりとした食感が組み合わさっている。フレーバーは、「キャラメルアーモンド」「チョコレートナッツ」「グリーンティ&ブラウニー」「プレーン」の4種類。
税込価格は、単品で172円(東京都・神奈川県内のみ194円)、専用ボックスに入れた4個セットで650円(東京都・神奈川県内のみ750円)。この価格設定は、コンビニ・ドーナツのほぼ倍だ。従来のミスド中心価格帯と比較しても高い。ところが、ミスタードーナツ事業本部長の和田哲也氏は「値段にかかわらず、おいしいものを食べたいお客様はいる」と自信をみせる。15年6月末までの期間限定販売で、通常商品の倍以上となる1000万個の販売を目指している。
ミスドが高価格路線に自信を見せている背景には、昨年から推進してきた高付加価値・高単価路線の成功がある。すでに、ミスドは昨年4月からクロワッサン生地を揚げて焼いた「ミスタークロワッサンドーナツ」を172円で発売し、4000万個以上販売した。1月にはデニッシュ生地とドーナツ生地を組み合わせた「ブルックリンD&D」を194円で発売している。
富士経済の調査では国内ドーナツ市場の規模は1173億円(2013年)。この市場でミスドは圧倒的なシェアを維持してきた。これに挑む形で、セブン-イレブンが昨秋、「セブンカフェ ドーナツ」と銘打ってドーナツ市場に参入し、ミスドに宣戦布告。
これに対して、ミスドはさらなる鮮度向上を図るために製造ロットを減らす一方、高付加価値・高単価路線で迎え撃とうとしている。「ドーナツ戦争」はさらに熾烈になりそうだ。(編集担当:久保田雄城)