民主党の岡田克也代表ら共生社会創造本部の議員らは12日、都内の派遣ユニオン事務所で、登録型派遣で働く派遣労働者から労働現場の実情、課題を直接聞いた。日本労働弁護団の棗一朗弁護士も同席したとしている。民主党がHPで概要を紹介した。
HPでは政府が成立を目指す労働者派遣法改正案に対する棗弁護士の見解も紹介。棗弁護士は「正社員へ登用される道は法制度上、全くなく、今回の改正を『派遣労働者の処遇を改善し、正社員になりやすくするもの』という政府の宣伝は虚偽。有期雇用派遣が3年の上限に達する派遣労働者に対する雇用安定措置の1つとして派遣元事業主は派遣先に直接雇用の申し込みをするよう求めることを義務付けているが、1回お願いするだけのことで、派遣先が拒否すればどうすることもできない」など実効性のない内容だと危険性をあげたことも紹介した。
出席した派遣労働者は製造業で5年間3カ月毎の更新で勤務し、正社員が嫌がる仕事も担ってきたが不安定雇用が続いているという30代男性や派遣先上司からのセクハラ被害を訴えたが派遣会社に対応してもらえず精神疾患を患い退職に追い込まれた40代女性。育児休業を取り、4月に職場復帰する予定だったが3月末に急に派遣会社から解雇を言い渡された30代女性など6人。
出席者からは政府が目指す労働者派遣法の改正案について「何年働いても簡単にすぐ解雇できるのが派遣。パートや有期契約の直接雇用なら企業都合による解雇は違法とされることが多いが、派遣にはこうした解雇規制がないため、今後はますます労働力の調整弁として派遣労働者を活用する流れが強くなる」との意見や「退職金もなく老後が心配な国民を増やすことにつながり、今後、生活保護を受ける人の増加にもつながる。企業の都合を優先させた結果、税金を原資とする生活保護費で国が救うしかなくなる」などの意見が出され、派遣で働く労働者の不安や不安定な状況が改めて示された。(編集担当:森高龍二)