塩崎恭久厚生労働大臣は16日の参議院予算委員会で労働者派遣法にからみ、「同一労働同一賃金」について、民主党の羽田雄一郎参議院幹事長から「ヨーロッパでは派遣社員と正社員の均等待遇が常識になってきている。均等待遇を確保できるよう前向きに検討すべき」と質され「ひとつの重要な考え方であるし、認識はしているが」と肯定しながらも「ヨーロッパは『職務給』、日本は『職能給』と呼ばれる様々な能力で賃金を決めている」と答弁、一足飛びには無理との考えを示した。
塩崎大臣は「均衡待遇をやるための努力をすすめていくことは待遇改善にとって一番大事と考えている」と努力していくとしたが、法定で同一労働同一賃金は担保できないとの考えを浮き彫りにした。
羽田議員は「若者が正社員に就くのが大変難しい傾向にある」とし「初めての仕事が非正規の割合は昭和62年から平成4年では13.4%だったが、平成19年から24年では39.8%と4割近くになっている」と指摘。
羽田議員は「民主党政権時代は有期労働契約が繰り返され通算5年を超えた場合には働く人の申し込みにより無期労働契約に転換できる制度を導入した。また就労支援を拡充し新卒世代を中心に正社員として社会人生活ができるよう目指してきた。非正規・正規を問わず就労者の均等待遇を図るために労働条件の底上げに努めてきた」と強調。
羽田議員は「安倍政権は正社員を減らしている。生涯派遣の若者を増やそうとしている」とし「2度にわたり廃案となった労働者派遣改悪法案をまた出そうとしている」と批判。
羽田議員は「大企業が派遣労働者を使い続けることができるようにしようとしている。派遣労働者と正社員との賃金格差には著しいものがある。派遣労働者の待遇を改善する策が盛り込まれていない。ヨーロッパでは派遣社員と正社員の均等待遇が常識になってきている。均等待遇を確保できるように前向きに検討すべき」と質した。
塩崎大臣は「派遣法が非正規社員をさらに増やすのではないかとの懸念を示されたが、今、派遣で働いている方の半分は派遣のままでもいいと思っている。その現状を踏まえることが大事」と反論。そのうえで「今回の法改正では正社員になりたいという方のために新たな規制を導入している。人材派遣業は全体を許可制にする。同一労働同一賃金はひとつの重要な考え方であるし、認識しているが、ヨーロッパのような職務給にすぐになれるかというと、日本は職能給と呼ばれ、様々な能力で賃金を決めている。均衡待遇をやるための努力をすすめていく。待遇改善にとって一番大事と考えている」と答弁した。(編集担当:森高龍二)