【日経平均】大型株中心に売られ底が抜けて278円安

2013年01月16日 20:52

  NYダウは27ドル高でも朝方の為替レートはドル円が88円台後半、ユーロ円が118円近辺で円安が足踏みし、16日の東京市場には「今日の株価は一服か」という空気が流れていた。日経平均は72.67円安の10806.41円で始まり、すぐ10700円台に下落した。後場は自民党の石破幹事長の「円安で産業によっては困る企業も出てくる」という発言を受けて一時、ドル円87円台、ユーロ円116円台になる局面もあり、これが海外の機関投資家の先物売りを誘って下落幅は250円を超え、一時10600円台も割り込んだ。

  結局、終値は278.64円安の10600.44円と株価上昇トレンドの発端だった昨年11月15日以来最大の下げ幅を記録し、一服どころか底が抜けてしまった。大型株の売りがかさんだので東証1部売買代金は2兆円を突破している。ファーストリテイリング<9983>が1100円安、売買代金6位のファナック<6954>が650円安、売買代金10位のソフトバンク<9984>が99円安で、大きく売り込まれた「御三家」が日経平均マイナス寄与度1~3位に顔を揃え、合わせて81円も引き下げに寄与しては、日経平均の大幅安も納得できる。

  値上がり銘柄数は332、値上がり銘柄数は1287で、東証1部33業種の騰落率が全部マイナスという最近見なかった現象。下げ幅が小さいのはJAL<9201>の65円高が貢献した空運、JRと私鉄に昨年来高値を更新した銘柄が10も出た陸運、セブンアイHD<3382>が10円高などおおむね堅調な小売といった内需系ディフェンシブ銘柄。一方、下げ幅が大きいのは海運、不動産、証券、保険、繊維、鉄鋼など、年末年始まで派手に値上がりしたセクターが揃った。メガバンクも下げたが、金融系でもディフェンシブ色が強い地方銀行株は、千葉興銀<8337>が値上がり率3位に入るなど買われる銘柄も出ていた。

  円高で輸出関連株は総崩れになり、トヨタ<7203>が110円安、ホンダ<7267>が100円安、キヤノン<7751>が140円安、コマツ<6301>が110円安と株価3ケタ安がゾロゾロ。シャープ<6753>もパナソニック<6752>もソニー<6758>もみんな下げている。この日、目立っていたのが太陽光発電関連のサニックス<4651>で、80円高、+28.67%で値上がり率1位、売買高8位、売買代金9位と売買を伴って上昇した。この銘柄は忘れた頃に発作的に高値を取るクセがある。ノンバンク大商い兄弟のオリコ<8585>とアイフル<8515>は、売買高は4位と5位、売買代金は5位と1位、値下がり率は6位と1位にランクインして、売られ方も派手だった。

  朝方、国内線のボーイング787が飛行中に煙を出して高松空港に緊急着陸した全日空<9202>は3円安。リチウムイオン電池の発火が原因とみられGSユアサ<6674>が15円安と大きく下落した。翼を作っている富士重工<7270>、三菱重工<7011>、炭素繊維の東レ<3402>、チタンの東邦チタニウム<5727>、飛行制御装置のナブテスコ<6268>など、数年前にもてはやされた「ボーイング787関連銘柄」の株価が揃って下げている。

  今日の主役は新幹線を走らせているJR3社。100円高のJR東日本<9020>、110円高のJR東海<9022>は昨年来高値を更新し、JR西日本<9021>も40円高だった。小売と並ぶディフェンシブ系代表格の陸運株で、為替の円高で相対的に買われた面もあるが、ボーイング787の事故の影響による機材不足で国内線に欠航が出るのを懸念して、飛行機から新幹線に変える人が多く出て旅客収入が増えるという読みもある。事故が起きた便は山口宇部発羽田行きで、東海道・山陽新幹線と競合する。この日、全日空もJALも、ボーイング787の運航を一時見合わせると決めた。(編集担当:寺尾淳)