三菱重工がシンガポール現法の事業を統合・集約した新会社を発足

2012年07月04日 11:00

 三菱重工業が、シンガポールにある複数の現地法人に分散している事業を統合・集約し、10月1日付で新会社を発足させると発表。各事業を同国の現地法人であるMHIインダストリアル・エンジニアリング&サービス(MIES)に承継、海外事業拡大のためのグローバル・ビジネス・センターとしての新たな機能を持たせ、広範な情報の共有化を図る。

 具体的には、環境・化学プラント事業をメインとして手掛けているMIESを承継会社として、ミツビシ・ベビー・インダストリー・シンガポールが担っている船舶・海洋、冷熱事業の営業機能と調達を含むコーポレート機能と、また、ミツビシ・パワー・システム(アジア・パシフィック)が担っている原動機事業の営業機能とを、それぞれMIESに統合・集約。新たな体制始動に向け、3社は合併契約を締結、三菱重工はMIESに対し追加の資本増強を行うことを決定した。

 新会社は、現在MIESの手掛けるCO2回収装置、ガス・石油生産設備、化学プラントなどの各種EPC(設計・調達・建設)事業、搬送システム、水処理設備などに加え、原動機事業本部、船舶・海洋事業本部、冷熱事業本部の営業拠点としての事業活動を実施。将来的には、総務・人事、資材調達、経理・資金などのコーポレート機能も強化し、アセアン・オセアニア地域のグループ会社へのコーポレート業務支援も実施する予定だという。

 MIESを承継会社とする今回の統合・集約は、MIESが実施している東南アジアや中東などを対象とした受注・販売活動が、シンガポール政府の輸出振興策の対象となったこと、また、独立行政法人日本貿易保険からの貿易(包括)保険が適用されたことなども要因だ。

 受注高は回復傾向にあるものの、依然として2008年以前の水準には戻っておらず、売上高も微減を続けている三菱重工。2012事業計画において「事業規模の拡大」と「資本効率及び純利益水準の向上」の2つを目標として掲げているが、今回の組織再編は、これらの目標達成にどれだけ寄与することができるのであろうか。その成果に注目が集まるところであろう。