【今週の振返り】ギリシャも上海も区切りがつき871円上昇の週

2015年07月18日 20:47

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「悪い夢を見たことを、早く忘れたい」そんな情念をぶつけるように東京市場は上昇、上昇、また上昇の5日続伸。カタルシスで投資家の心は浄化されたか?

 15日の日経平均は3日続伸。NYダウは75ドル高で3週間ぶりに18000ドル台回復。ギリシャ政府は財政改革関連法案を議会に提出し、ESMから132億ユーロのつなぎ融資を受けられる見通しもつきヨーロッパ主要市場は5日続伸。6月の小売売上高は-0.3%と4ヵ月ぶりの予想外のマイナスで4月、5月の数値も下方修正され安く始まったが、利上げ先送り観測、JPモルガン・チェースの好決算などを背景にプラスに転じた。ウィーンでのイランの核協議は合意に達したが原油先物価格は織り込み済みだったようで下げ止まり。小売売上高の悪化でドルが売られ朝方のドル円は123円台前半、ユーロ円は135円台後半。CME先物清算値は20505円だった。

 日経平均は93円高の20478円で、6月のメジャーSQ値の20473円を上回って始まる。TOPIXは1640台でスタート。午前9時3分に20496円まで上がるが20500円台はタッチできず、20400円台後半の小幅な値動き。リスクオンで月曜日と火曜日の2日間で605円も上昇し、昼の日銀会合の結果待ちも加われば、さすがに上値は抑えられる。9時58分に20440円まで下押しされても10時台には20400円台後半に戻る。上海市場はマイナスで始まるが小幅にとどまり日経平均は反応薄。11時に中国の4~6月期のGDPが発表され、横ばいの7.0%で6.8%の市場予測より良かった。しかし上海総合指数はプラスに戻れず、日経平均は上昇はしても20500円にはわずかに届かない。為替も動かない。この時間帯は上海よりも大事なものを待っているから、か? 11時台は徐々に下落して前引けは84円高の20469円だった。

 昼休みに日銀の金融政策決定会合の結果が出た。「ひょっとすると」と思わせたが金融政策は現状維持で「プチ緩和」もなかった。今回も反対は孤高の〃反逆のカリスマ〃木内登英審議委員ただ1人。今年度のGDP成長率見通しが1.7%に下方修正された。物価上昇率(インフレ率)は今年は+0.8%から+0.7%に、2016年は+2.0%から+1.9%に、2017年は+1.9%から+1.8%に、それぞれ下方修正された。

 後場の日経平均は15円ほど低い水準で静かに再開する。ドル円は少し円安に振れたが、日経平均は20500円に近づいても押し戻され、その後は20450円をはさんだ小動きが延々と続く。前々週から外部要因に翻弄されて大荒れだった相場はやっと落ち着きを取り戻した、かに見えたが「ゲリラ急落」襲来。午後1時40分に20401円まで下落した。しかしカミソリのような鋭角V字回復で2時までに元の水準に戻り、退屈に絶望した誰かさんの先物仕掛け売りの野望をくじいた。返す刀で20500円に接近するがタッチは果たせない。上海市場は下げ幅を拡大するが日経平均はやや振幅が大きくなる程度。終盤は20400円台半ばの水準を維持し、終値は78円高の20463円だった。TOPIXは4営業日続伸。

 日経平均終値は78.00円高の20463.33円、TOPIX終値は+7.70の1646.41。売買高は20億株、売買代金は2兆3361億円。値上がり銘柄数は1170、値下がり銘柄数は601。プラスは24業種で上位は医薬品、精密機器、食料品、倉庫、その他製品、陸運など。マイナスは9業種で下位は非鉄金属、鉄鋼、その他金融、ゴム製品、証券、卸売などだった。

 16日の日経平均は4日続伸。NYダウは3.41ドルの小幅安だが18000ドル台は維持。NASDAQもS&P500もマイナスだった。6月の卸売物価指数(PPI)は市場予測の+0.2%を上回る+0.4%でNY市場は高く始まったが、イエレンFRB議長が連邦議会下院で証言し「(先送りせず)年内利上げが望ましい」と強調し、財政改革案を議会で審議中のギリシャの首都アテネで市民の反対デモの一部が暴徒化したことなどで急落しマイナスに。終値でプラスに戻れなかった。CME先物清算値は20540円。朝方のドル円はイエレン議長の証言を受けたドル高円安で124円に接近し、取引開始前にギリシャ議会が財政改革案を可決してユーロ円は135円台後半。

 リスクオンムードの中、日経平均は125円高の20588円で始まる。TOPIXは1650台でスタート。前日タッチできなかった20500円をあっさりクリアし、日経平均は前週末から800円以上も上昇。1分後に20592円まで上昇するが20600円はタッチできず20500円台でもみあうだけで、前日のチャートを100円上にずらしたような「高値圏・安定・小動き」。10時29分に20522円まで下げたが、マイナスで始まった上海市場がプラスにタッチすると20500円台後半まで持ち直し、前引けは98円高の20561円だった。

 後場は20572円で再開。上海はプラスに転じたが前場の続きで20500円台後半、それも20560円前後のほぼ30円幅の小動きがずっと続く。午後2時台になると為替の円安進行に伴ってにわかに上昇し2時34分に20600円台にタッチ。20604円の高値をつける。ザラ場ベースでは7月2日以来の水準で、TOPIXも1660タッチ。国会では安保関連法案が衆議院本会議で可決されていた。終盤には20600円をオーバーして2時59分に20612円まで上昇し、終値は136円高の20600円。終値ベースでは6月26日以来の20600円台。TOPIXもまた図ったように数字を揃え1660で高値引けした。

 新規IPOが1件。ネット上でネット外での購買やイベント参加などの行動を促す「O2Oソリューション」を提供するアイリッジ<3917>が東証マザーズに新規上場。公開価格1200円の2.3倍の2760円の買い気配で終了し、初値は翌日に持ち越された。ネット関連銘柄のIPO人気は絶大。