バッテリ上がりを防ぐ電源ICが自動車の低消費化実現

2012年06月25日 11:00

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半導体メーカーのロームが、業界最高の低暗電流6μAを実現した耐圧50Vの車載用LDOレギュレータ「BD7xxL2EFJ-Cシリーズ」を開発した。

 半導体メーカーのロームが、業界最高の低暗電流6μAを実現した耐圧50Vの車載用LDOレギュレータ「BD7xxL2EFJ-Cシリーズ」を開発したと発表。暗電流を従来品に比べ80%低減し、自動車の低消費電力化に貢献するものとして5月からサンプル出荷を開始、9月から月産20万個の規模で量産を開始する。

 暗電流とは、エンジン停止時など自動車の待機時に消費される電流のこと。近年、自動車の電子化が進むにつれマイコン数も増え、マイコンへの供給源となる電源の通電時電流の低消費化が大きな課題となっている。具体的には、キーレスエントリーのリモコンやセキュリティ装置の待機電力、オーディオやコンピューター(ECU)の記憶保持、時計など、エンジン停止の状態でも消費される電流が増加傾向にある。この待機時バッテリ消費電流が多くなるとバッテリの放電が早まるため、長期間の駐車や船便で海外輸出する際など長期間乗車しない場合にバッテリが上がる可能性がある。しかし、電流を減らすには、一般的には内部回路のインピーダンスを高める必要があるものの、ノイズの影響を受けやすくなるほか、小型化が難しい、回路起動が遅くなるなど、多くの課題があるという。

 こうした課題に対しロームは、長年培った車載用LDOの技術を結集し、耐ノイズ対策を行った独自の回路設計で、小型かつ高信頼性の低暗電流LDOを実現。従来品に比べ暗電流を80%低減することに成功し、バッテリへの負荷を軽減、長期間のエンジン停止状態にも十分に耐える電源回路の構築を可能としているという。また、車載に用いられる様々な電源に使用することで、エンジン停止時だけでなく、走行時を含めた自動車全体の低消費電力化を実現。さらにパッケージも小型化されており、従来品に比べて体積を約80%削減している、省エネの観点から航続距離の伸長にも大きく貢献するものとなっている。

 矢野経済研究所の調査によると、車載用半導体世界市場規模は前年比9.9%増の205億8000万ドル。2012年は前年比10.5%増の227億4000万ドルへと伸長する見込みとなっている。さらに年々厳しくなる環境規制に対応する為に様々な電子制御システムの搭載が進み、新興国においても安全システムの義務化が進むとみられ、2020年には403億ドルにも上ると予測されている。こうした中、EVやPHVの普及にとも相まって、各電子機器メーカーによる低消費電力化競争は益々激化するであろう。どこまで消費電力を低減できるのか、他国企業に負けない日本の技術力に期待が高まるところである。