高温傾向と予想される今夏の自販機の節電対策

2012年06月25日 11:00

 アサヒグループホールディングスお客様生活文化研究所が今年実施した調査によると、「節電対策」への関心度は、2007年に41.4%、2010年に51.5%であったものの、震災を経た昨年は69.4%まで一気に急増し、今回は昨年よりもさらに4%以上高い73.8%と過去最大を記録。さらに、全体の64.6%が今年の夏の電力不足に不安を感じているという。こうした中、自動販売機業界では、清涼飲料自販機協議会が業界としての自主的な取り組みを実施。これに加えて飲料各メーカーも独自の対策を発表している。

 現在、ほとんどの自動販売機で導入されているピークカット機能。7月から9月の3ヶ月間の平日、電力需要の少ない午前中から午後1時に商品を冷やしこみ、午後1から4時の3時間は冷却機の運転を停止するものであるが、ダイドードリンコでは、これに加え、各電力エリアの電力需給の状況や国の指針に従い、節電が必要な地域及びその期間・時間帯を迅速に決定し、自販機の設置先に対し、「冷却機能の輪番停止」等の具体的な節電アクションを提案することなどを発表している。

 また日本コカ・コーラも通常のピークカットに加え、7月2日から9月30日の間、9時から20時までの消費電力の「ピーク時間帯」に、6つのグループに分けた自動販売機の冷却運転を輪番で停止することで、ピーク時間帯の消費電力15%削減を目指す。一方で、昨夏は屋外に設置している自動販売機の夜間照明の消灯を実施したものの、夜間の電力は比較的余裕があること、屋外に設置された自動販売機の明かりが防犯上役立っていることなどから、今夏は夜間照明を点灯させるという。

 さらに、業界全体で、通常外気に放出される熱を加温に再利用することで消費電力を節約するヒートポンプ自動販売機の導入も進んでいる。キリンは、2011年新規納入機の95%がこのヒートポンプ機能を搭載。2012年は缶・ペット自動販売機の新規投入機全てに導入し、今年3月からは、従来のヒートポンプ自動販売機よりも消費電力を最大50%強削減する最新シートポンプ導入開始している。伊藤園も、外気に放出される熱だけでなく、外気から取り込んだ熱も商品の加温に利用するハイブリッド方式を採用した「ハイブリッドヒートポンプ自動販売機」を導入。同機は、冷却や加温する際に使用するコンプレッサーの稼働を効率化させるインバータも搭載しており、従来のヒートポンプ式自動販売機よりもさらに約30%の消費電力量を抑えることができる。

 電力不足が叫ばれた昨年より以前、1991年から自販機の電力削減に注力し取り組んできた飲料業界。その結果、出荷機1台当たり年間消費電力量は、直近20年間で約70%の削減を実現している。外観からは分かりにくいが、その節電性能は日々進化しており、最新機器の導入も進んでいる。また、自販機は必要な時に手軽に購入出来る利便性に加え、昨年の震災時においては水分補給を担うライフラインとしての機能も果たしたのは記憶に新しい。我々が日常生活で感じる以上に、節電への取り組みが進んでおり、社会貢献を意識している業界と言えるのではないだろうか。