缶コーヒー市場、ユニークな視点の夏向け新商品がラインナップ

2012年06月25日 11:00

 富士経済研究所のデータによると、2011年の嗜好飲料は1兆8577億円、前年比99.3%と微減であった。しかし、缶コーヒー市場は前年比101.0%の7364億円と微増しており、市場の底堅さが窺える結果となっている。こうした中、飲料メーカー各社も缶コーヒーに注力しており、本格的な夏を前に夏向けの新商品を相次いで発表している。

 コカ・コーラシステムは、新しい缶コーヒーのカタチを提案する「ジョージアクロス」シリーズの第2弾として、「ジョージアクロス UK-STYLE(ユーケースタイル)」を5月21日から発売。第1弾の「和」を融合した「ジョージアクロス 和-STYLE」に続き、第2弾はオリンピックイヤーで誰もが注目するイギリスに着眼。「紅茶のシャンパン」と呼ばれるダージリンティーをコーヒーに掛け合わせることで、缶を開けた瞬間に香るダージリンがこれまでにない「ちょっと違う」価値を提供する缶コーヒーとなっている。

 またキリンビバレッジは、キレのある夏向け缶コーヒー「キリン ファイア キリマン100」を5月29日から発売している。コーヒー市場で約4割を占める最大カテゴリーのスタンダードカテゴリーにおいて、メインユーザーである30~40代男性は、夏に缶コーヒーに求める味覚のポイントとして、「すっきりした味」「後ギレの良い味」「甘さ控えめ」「ミルク控えめ」をあげていることが、同社の調査により判明。こうした結果を受け、「ファイア」ブランドから、甘さとミルク控えめのすっきりしたキレのある缶コーヒーとなっている。

 さらにJTからは、ルーツエクスプローラー「ジャマイカン」が7月2日から発売される。酸味・コク・香りのバランスが良いジャマイカ産高級コーヒー豆「ハイマウンテン」をベースとしたコーヒーに、ココナッツの香りをアクセントとして加えており、上品でまろやかなコーヒーをココナッツの甘い香りとともに常夏気分で楽しめる商品となっている。その他、アサヒ飲料 は、深煎りドリップコーヒーにダブルのエスプレッソコーヒーをブレンドした「ワンダ オン・ザ・ロック エクストラロック 缶190g」を7月3日から発売。深いコクが特長のエスプレッソコーヒーと香ばしいロースト香が特長のエスプレッソコーヒーを加えた、香り高くコク深い味わいのアイス専用缶コーヒーを提供する。

 底堅い市場でありながら収益性も高い缶コーヒーは、各飲料メーカーが重要視する市場の一つであろう。その為、今夏のラインナップ同様、今後も様々な角度からアプローチした新商品が市場に登場すると思われる。成熟市場を活性化させるために各社がどんなアプローチをするのか、注目が集まるところである。