【ヤマハ発 中間決算】全事業で増収・増益、通期見通しは修正なし

2015年08月08日 20:16

 ■全ての事業セグメントで収益体質が改善

 8月4日、ヤマハ発動機<7272>が2015年1~6月期(第2四半期/中間期)決算を発表した。

 売上高は8211億円で前年同期比8.6%増、営業利益は696億円で同41.9%増、経常利益は744億円で同51.5%増、四半期純利益は521億円で同61.7%増と、増益幅は前年同期比を大幅に上回った。中間期の配当は当初計画通り1株あたり22円とした。

 地域別の売上高は国内および北米、ヨーロッパ、アジア全ての地域で増収。先進国と新興国で分けると先進国事業は安定をみせて増収増益で、新興国事業はほぼ前期並みの業績だった。新興国ではインドネシアとブラジルで二輪車の販売数量が減少し、新興国の通貨安の影響も受けたが、底打ちしたベトナムやフィリピンなど他の新興国での二輪車販売の増加、先進国の好調さがそれを吸収し、世界全体では大幅な増益となっている。

 ■主要4事業は全て増収、2ケタの営業増益

 事業セグメント別では、1~6月期は二輪車、マリン、特機、産業用機械・ロボットの主要4事業全てで増収増益だった。

 二輪車事業は売上高7.6%増、営業利益65.8%増。先進国の販売台数は北米では28%増、ヨーロッパでは14%増と好調だった。「YZF-R1」「MT-09 TRACER」を3月に発売してラインナップを強化した新商品投入効果や構造改革が進んだことで、先進国事業は通期で事業黒字化のメドが立った。引き続き競争力の強化に取り組む。新興国では販売車種の高価格帯シフトが進んでいる。それに加えて増収効果、コストダウン効果、円安効果などが出て、新興国通貨安や開発費増などの減益要因を吸収した。

 「ASEANでは『BLUE CORE』エンジン搭載モデルの投入を進め、現在34%のモデル投入比率を通期では40%まで高める。高価格帯商品での高シェアの獲得・維持とプラットフォームモデルの市場浸透に注力して、事業基盤を固めていきたい」(柳弘之社長)

 マリン事業は売上高12.0%増、営業利益41.7%増。特に北米の淡水市場で船外機の大型化が進んだことが増益に寄与し、ウォータービークルも販売台数を伸ばした。円安効果も出て大幅な営業増益になっている。今後は小型船外機をタイに生産移管してコストダウンに成功したようにグローバル生産をいっそう推進し、さらなる高収益のビジネスモデル確立を目指していく。

 特機事業は売上高9.5%増、営業利益20.9%増。ROV(レクリエーショナル・オフハイウェイ・ビークル)第3弾の新車種「Wolverine」を北米市場で投入し、新商品投入効果で増収増益になった。3モデルの投入が完了し、今後は本格スポーツ領域への進出準備を進めていく。

 産業用機械・ロボット事業は売上高22.7%増、営業利益20.4%増。主力のサーフェスマウンターは設備投資需要の世界的な回復傾向で販売台数が増加している。今後は他社事業の取り込み、新しい事業拠点の建設など事業体制の強化に取り組んでいく。2017年1月には浜松市で開発・生産・販売の新拠点が操業を開始する予定になっている。

 その他の事業では、電動アシスト自転車で地球に優しい+楽しい走りの新技術「GREEN CORE」搭載モデルの展開を進めており、国内販売もヨーロッパ向け輸出も伸びている。

 ■「稼ぐ力」など次期中期計画の基盤を固める

 2015年12月期本決算の見通しについては、下期も1~6月期と同様にインドネシアやブラジルなど一部新興国での二輪車事業の減収減益を、ベトナム、フィリピン、台湾など他の新興国や先進国の二輪車事業、マリン事業などの増収増益で吸収できるとみて、会社側では2ケタの増収増益も、現在の中期計画目標の達成も堅いとみている。

 2015年12月期の業績見通しは、売上高11.8%増の1兆7000億円、営業利益37.5%増の1200億円、経常利益26.4%増の1230億円、当期純利益11.0%増の760億円という2ケタ増収増益で修正なし。前期比で4円増配して44円という年間配当見通しも変わらない。第2四半期の通期見通しに対する進捗率は、売上高は48.3%、営業利益は58.0%、経常利益は60.5%、四半期純利益は68.5%となった。

 次期中期計画「ひと回り・ふた回り大きな個性ある企業」に向けて、「ブランド力」と「各事業の稼ぐ力」をさらに高めることが今期の目標で、全事業セグメントで「稼げる収益体質」への改善が着々と進んでいる。(編集担当:寺尾淳)