「トマトが赤くなれば医者が青くなる」という諺があるように、古くから健康食材として食されてきたトマト。今年2月に京都大学が脂肪肝や高中性脂肪血症などの脂質代謝異常の改善に有効な成分をトマトから発見したことから、ダイエット効果があるとして再度注目を集めている。近時、このトマトに関する研究が活発化し、さらに様々な効果が判明してきている。
5月25日、アサヒグループホールディングスとカゴメは共同研究により、トマトが飲酒後の血中アルコール濃度を低下させることをヒトで確認したと発表。トマトジュースとアルコールを同時摂取すると、トマトジュースを飲んでいない場合と比較して血中のアルコール濃度や体内に留まる量が平均して約3割減少し、体内からのアルコール消失も早まることが確認されたという。アルコールの代謝に関わる酵素が活性化することがそのメカニズムであることも動物実験にて確認されたとのこと。
また、ニューキャッスル大学によると、トマトを食べることで日焼けによる肌のダメージと肌の老化を防ぐ効果を期待できるという研究結果が出たという。この効果をもたらしているのが、トマトの赤い天然色素のもととなるリコピンであり、ケッチャプやペーストなどの加工されたトマトであればより効果的に摂取できるという。
さらに富士フイルムは、このリコピンを独自技術で世界最小クラスの70ナノメートルまで安定的にナノ化した「ナノリコピン」の開発に成功したと発表。その研究の中で、リコピンがヒト皮膚細胞内の抗酸化成分であるグルタチオンの産生を促進、酸化ダメージによる細胞傷害を抑制することを発見し、優れた抗酸化能を有するアスタキサンチンとリコピンとを共存させることで、アスタキサンチンの抗酸化能をより持続させることも見出したという。今後、この「ナノリコピン」を用いて、紫外線や環境ダメージなどの酸化ダメージによる老化を防ぐエイジングケア化粧品を開発していくと。
ダイエット効果にアルコール対策・美肌対策と老若男女関わらず、様々な効果を期待できるトマトは、これからの季節、6月から8月が旬となる。いつもの食事に一品、トマトを足してみてはいかがであろうか。