太陽光やソーラー発電など、電力事業に参入する法人が増えている。東京商工リサーチが、14年に全国で新しく設立された法人11万9552社の業種を調べたところ、「電力事業者」は前年比1.8倍増の3283社にのぼった
太陽光やソーラー発電など、電力事業に参入する法人が増えている。東京商工リサーチが、14年に全国で新しく設立された法人11万9552社の業種を調べたところ、「電力事業者」は前年比1.8倍増の3283社にのぼった。増加の背景には、12年7月に導入された「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」がある。太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスなどによって発電された電気を、電力会社が一定価格で買い取ることを国が約束する制度で、電力会社が買い取る費用は、電気を使う側から「賦課金」として集める。今はまだコストの高い再生可能エネルギーの導入を、官民挙げて支えていくのが目的だ。政府は買い取り制度によって、再生可能エネルギーの発電設備にかかる高い建設コストの回収がしやすくなり、普及が進むとみている。
3年前に導入されたこの制度をきっかけに、発電を目的にした法人設立の動きが相次いでいる。制度が導入される前の2011年(66社)と比べると、実に49.7倍。2010年以降の5年間でみると、新設法人数は東日本大震災と原発事故が発生した2011年から増加をたどり、国の再生可能エネルギーの固定価格買取制度が導入された2012年からの増加が際立っている。14年は13年を上回るペースで推移し、特に11~12月は前年同月比で2~3倍と急増した。
なぜこの時期に新設法人が増えたのか。理由は、15年4月に「再生可能エネルギーの買取価格の引き下げ」があったからだ。価格が下がる前に、設備認定を受けるための申請の前段階として法人設立を急いだ関係者が多かったのだろう。こうして14年は、電力事業の新設法人が3283社に達した。最も多いのは「太陽光、ソーラー」関連事業で2536社。全体の約8割を占めた。地区別では関東(1440社、構成比43.8%)、近畿(585社、同17.8%)、九州(434社、同13.2%)の3地区で全体の7割を超えている。
資本金別では「1百万円未満」が54.9%と過半数を占めた。また、1千万円以上は7%で、このうち1億円以上は同1.9%にとどまっている。前年との増加率でみても、資本金が少なくなるにつれて増加率が高い。参入障壁の低さが法人設立を後押ししているようだ。(編集担当:北条かや)