電気事業連合会や新規参入業者23社などの電力業界35社は17日、2030年度の温室効果ガスの削減目標を13年度比で約35%削減させるという共同目標を正式に発表した。ただし排出する二酸化炭素(CO2)の総量の目標については言及されておらず、また35社それぞれが目指す目標値についても明らかにされていない。温室効果ガスの排出量が多い石炭火力を多く抱える、新規参入業者に配慮したものとみられる。
電力業界35社が発表した共同目標によれば、販売電力量1キロワット時あたりのCO2排出量を13年度の0.57キログラムから、30年度には0.37キログラム程度にまで削減させる。この目標値は、原子力発電所が稼働していた東日本大震災直前よりも低い。新しく建設される火力発電所に最新技術を導入するなどの取り組みにより、最大で年1100万トンの削減を見込んでいる。目標の達成状況は毎年確認し、翌年からの取り組みに反映していくという。
こうして電力会社大手と新規参入業者が共同で目標値を設定するのは、これが初めてのことである。目標策定に向けた議論は今年3月より開始され、政府が今月16日、原子力発電を20~22%などとする30年度の電源構成比率を決定したことを受けて、最終的に確定した。共同目標の策定には電源開発(Jパワー)<9513>、日本原子力発電も参加した。参加している電力事業者は35社にのぼり、それらの事業者が占める割合は販売電力量の99%となっている。
今回の共同目標の発表に際して、電気事業連合会は「参加事業者は、今後、本目標の達成に向けた取り組みを着実に進めるとともに、実施状況を毎年フォローアップしていくことを通じて、低炭素社会の実現に向けて一層努力してまいります」としているものの、個々の事業者の目標値は示されておらず、また現時点では個々の目標の設定が考えていないという。こうしたことから、環境省は実効的な枠組みになっているかどうかが明らかではないとして、電力業界に説明を求める考えを示している。(編集担当:滝川幸平)