2014年の太陽光発産業を振り返ってみると、各地でメガソーラーの建設が相次ぎ、2014年3月に稼動件数は1000件を越えた。そして、その後も各地でメガソーラーの新設が発表され、14年8月に開催した新エネルギー小委員会における太陽光発電協会(JPEA)の発表によると、太陽光発電システムの国内市場は2013年度には約2兆5000億円に達したという。
このように、施設の建設ラッシュは続き、「メガソーラーバブル」ともいうべき状況になっていた。運営会社も、京セラ、東芝、シャープ、ソーラーフロンティアなどもともと太陽光発電事業を推進していた企業のみならず、伊藤忠商事などの商社系、ソフトバンクなどの通信系企業も参入している。
このバブルの一因として、政府が規定する固定価格制度(FIT)の価格が高水準だったことがあげられる。FITは2012年の制度開始から3年間は高水準での買い取りに設定されている。日本の太陽光発電の買取価格は10kW以上20年間で32円+税、10kW未満10年間で37円となっている。このFIT開始以後、太陽光発電産業参入する業者は一気に増加し、14年には「バブル」状況となった。
さらに、2016年には電力自由化が予定されている。これまで地域限定でその地域の電力会社限定であった電力売電が、越境して自由に行えるということである。我々からすると契約する電力会社が自由に選べるというわけで、他業種からも電力事業に自由に参入できるようになる。これは特に家庭用の再生可能エネルギー発電事業者には追い風となると考えられており、これを見越して前述したような参入ラッシュとなった。
ところが、この時点で供給量が、経済産業省が見込んでいた発電量1000万kWをはるかに上回る6800万kWとなってしまった。つまり、供給量が過剰となり、電力会社は新規参入の凍結と受け入れの停止をせざるを得ない状況になった。
これを受け、北海道電力、東北電力、四国電力、九州電力、沖縄電力5つの電力会社は、2014年10月、再生可能エネルギーFITに基づく発電電力の新規受け入れを中止すると発表した。経済産業省も大規模太陽光新規参入の凍結の検討に入った。また、送配電設備のインフラがまだ、未整備なことも問題となっている。いくら、多量の発電量があっても送電システムが整備されていなければ、電力は無用の長物となる。特に、地方から都市部や各地に送電する設備の整備が追い付いていないようで、この送電システムの整備にはもちろん多大なコストもかかる。凍結後は、まず九州電力が50kW未満の電力について再生可能エネルギー発電の買取を再開した。それに、引き続いて各電力会社も順次、再開する模様だ。ただし、供給過剰や送電インフラ未整備もの問題が解決されたわけではもちろんない。
ただ、原発問題に揺れ、もともと資源の乏しい我が国にとっては、太陽光発電の重要性とメリットは変わらない。再生エネルギーへの早急な転換は必要だ。しかし、太陽光発電については、現状で果たしてここまで需要があるのか疑問もある。2014年は、いったん落ち着いて見直す時期だったのかもしれない。 (編集担当:慶尾六郎)