S&P、東芝の長期・短期会社格付けを引き下げ

2015年09月12日 14:15

 不適切会計問題の影響により東芝<6502>は、2015年3月期連結決算を延期し続けていたが、今月7日にようやくそれを発表。それによれば、売上高は前年同期比3%アップの6兆6559億円、営業利益は前年同期比34%ダウンの1704億円、そして税引き後の利益は378億円の赤字という結果であった。そして09年3月期から14年3月期の6年分の通期決算と、14年4~12月期の四半期決算も修正し、その結果、税引き前利益の訂正額は総額2248億円(税引き後利益ベースでは1552億円)にまで拡大した。今後、東芝は今月30日に臨時株主総会を開き、これらの内容を報告するとともに、新たな取締役の選任議案を提出する。

 こうして、自らが招いた不適切会計問題の影響により足を引っ張られ続けている東芝だが、その東芝に対してアメリカの格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は9日、東芝の長期・短期会社格付けをそれぞれ1段階引き下げたとの発表を行った。長期格付けについては「トリプルB」から「トリプルBマイナス」に、短期格付けについては「Aマイナス2」から「Aマイナス3」にそれぞれ引き下げた。スタンダード・アンド・プアーズは今回の引き下げの要因について、不適切会計問題の影響により営業や事業運営に混乱が生じ、業績への悪影響が続く可能性があるためとし、さらに新たな経営陣とガバナンス体制のもとで、新事業戦略が奏功するには時間がかかると指摘している。

 そしてスタンダード・アンド・プアーズは、東芝の今後の格付け見通しを示すアウトルックについても「ネガティブ」とした。そして、今後1~2年は業績や財務の改善見通しが下振れする可能性があると指摘している。東芝は30日に臨時株主総会を開き、新たな取締役の選任議案を提出し新体制が発足する予定だが、不適切会計問題の再発防止効果などが十分に表れない時には、さらに格付けが下がる可能性もあるとしている。

 その一方でムーディーズ・ジャパンは、同日に東芝の発行格付けを「Baa2」のまま変更しないと発表。ムーディーズ・ジャパンは、東芝の財務指標は現行の格付けの水準に対し非常に弱い水準としているものの、短期間で改善に向かうとの見方を示している。(編集担当:滝川幸平)