2020年に14年比で2倍を超える有望な電子部品は大型AMOLEDなど5品目

2015年09月17日 08:33

 富士キメラ総研は、スマートフォン、タブレット端末、エコ照明、エネルギー関連機器、次世代自動車、ディスプレイなどに関連する電子部品、材料の世界市場を調査しその有望度を発表した。

 調査対象91品目の内、2014年に市場規模が1,000億円を超え、かつ2020年の市場伸長率が2014年比2倍を超える有望な電子部品は、結晶シリコン太陽電池、太陽電池用シリコンウェハ、中小型AMOLED、リチウムイオン二次電池用正極材料、自動車用リチウムイオン二次電池、指紋センサー、車載用インバーターの7品目となった。

 また、現状の市場規模は小さいが、2020年の市場伸長率が2014年比2倍を超える品目の中から5品目を注目市場として取り上げた。

 注目市場としては、まず、大型AMOLED(ディスプレイ関連製品・部材)を挙げている。これは、タブレット端末やTV用のAMOLEDを対象とした。2014年は685億円だが、2020年には9.5倍の6,478億円と予測した。現状ではタブレット端末用が大半を占めている。2014年はSamsung El.のハイエンドタブレット端末で採用が増えたため市場が拡大した。タブレット端末用は今後もハイエンド機種での採用増加により、市場拡大が期待されるとしている。

 現状はガラス基板を用いたリジッドAMOLEDであるが、今後は「軽量」「薄型」を訴求したパネルにフレキシブルAMOLEDが徐々に採用されはじめるとみられる。TV用の増加には時間を要するため、当面はタブレット端末用を中心に市場が拡大すると予想されるとしている。TV用はLCDと比べて2倍以上という価格が採用増加の妨げとなっているという。技術の進展や歩留まりの向上に伴い価格が低下することで、ハイエンド機種から需要が徐々に増加すると予想している。

 OISユニット(光学デバイス)は、2014年は371億円だが、2020年には4.9倍の1,826億円になると予測した。 OISユニットは携帯電話やタブレット端末に搭載される光学式手振れ補正ユニットである。振動センサーにより撮影時の振動を検知し、レンズの位置や撮像素子の位置を調整し手振れを打ち消す役割を持つ。

 2012年以降OISユニットを搭載するスマートフォンが増加しており、2014年の市場は前年比3倍以上の371億円となった。Apple製品など主要機種での搭載が進んでおり、2015年の市場も前年比2倍以上に伸びると見込まれるという。採用増加に伴う受注競争の激化により、単価は徐々に低下すると予想した。

 熱硬化性リフレクター樹脂(エコ照明部材)は、2014年は44億円だが、2020年には2.7倍の119億円に拡大すると予測した。リフレクター樹脂はLEDが発する光を効率よく反射させるための樹脂材料であり、今後車載ランプ向けを中心にアルミナなどの金属材料からの代替が進むとみられるとしている。熱可塑性と熱硬化性があるが、ここでは単価が高く今後の市場拡大が予想されるエポキシ、シリコーン、不飽和ポリエステル、ハイブリッド(エポキシ+シリコーン)などの熱硬化性を対象とした。

 2014年のリフレクタター樹脂の市場は熱可塑性が211億円、熱硬化性44億円となったが、LEDの高出力化により熱可塑性から熱硬化性への移行が進んでおり、熱可塑性は市場縮小が予想されるという。一方、熱硬化性は成形過程での材料ロスが少ないためLEDメーカーにとってもメリットが大きく、特に1W以上の高出力LEDで採用が増加しており、2020年には2014年比2.7倍になると予測している。(編集担当:慶尾六郎)