スマートフォンやタブレットPCなどの普及に伴い、「センサ」技術への注目度が増している。これまで携帯電話でも赤外線センサなどが使われてきたが、スマホやタブレットのあの小さな筐体の中には、より高度で多彩なセンサが搭載されている。また、Apple Watchの登場によって話題のウェアラブル端末などは、センサの塊といっても過言ではないほど、様々なセンサが内包されている。
富士キメラ総研が発表した「2012年センサデバイス/・ソリューションビジネス市場調査」によると、世界のセンサ市場は2015年には約4兆1000億円規模にまで成長すると予想されており、日本企業の生産販売は金額ベースで世界シェアの4割を占めていることからも前途は明るい見通しといえよう。中でも、日本企業の得意とするMEMS(メムス・Micro Electro Mechanical Systems)は、2020年度にはMEMS全体で3兆1263億円、MEMSセンサだけでも1兆5606億円になることが予測されており、期待が高まっている。ちなみにMEMSとは、半導体製造技術やレーザー加工技術等、微小な電気要素と機械要素を一つの基板上に組み込んだもので、小型化や高機能化を実現することができるため、各種の最終製品に組み込まれれば高付加価値化を実現するキーデバイスとなる。
日本企業では、ローム<6963>や村田製作所<6981>、アルプス電気<6770>などの電子部品メーカーがセンサ市場でしのぎを削っている。
例えば、村田製作所のイメージキャラクター的な存在でもある自転車型ロボットのムラタセイサク君には、不倒停止や超低速走行を可能にするジャイロセンサをはじめ、道路の凹凸や段差を検出するショックセンサ、障害物を検知して衝突を回避する超音波センサなど、同社最新のセンサ技術が搭載されている。
また、微細化技術で世界の最先端を走るロームも7月14日、市場が拡大するスマートフォンやウェアラブル機器、活動量計などに向けて、気圧情報を検知し、高度や高低差検出に利用できる世界最小の気圧センサを発表した。新製品「BM1385GLV」は同社の従来品に比べても36%ものサイズダウンに成功しており、世界最小2mm角での高精度検出を実現。話題のインドアナビでの活用や機器の小型化に期待が高まる。
次々と最新のスマートフォンやタブレットが新機能を備え、薄型化を実現し、発売されているが、我々ユーザー側は特に気にすることもなく、ただ提供された便利な新機能を使いがちだ。しかし、実はそのほとんどがセンサ技術の賜物である。スマートフォンやタブレットに新しい機能が搭載されたら、それがどんなセンサ技術を使ったものか考えてみるのも楽しいかもしれない。(編集担当:藤原伊織)