拡大する自動車電装システム市場 13年は12兆7387億円 25年には2倍へ

2014年04月14日 10:01

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20年以降の環境規制をクリアするために、日本ではガソリンエンジン+ハイブリッドシステム、米国では変速制御の多段化、欧州ではダウンサイジングエンジン+マイクロハイブリッドシステムが推進されるとみられる

 自動車は、「走る」「止まる」「曲がる」などの基本的な機能を担うシステムが電装化されている。「環境」「安全」「快適」をテーマにそれぞれの機能のインテリジェント化に開発の主眼が置かれた第1世代から現在では低価格化と、単独機能のインテリジェント化から他の機能と協調させるスマート化に重点が置かれる第2世代のフェーズに移行しつつある。

 これを受け、株式会社富士キメラ総研では、自動車用の電装システムの需要予測と、それを構成するセンサやモーターなどのデバイスやコンポーネンツの動向を調査した。7日、その結果を「車載電装デバイス&コンポーネンツ総調査 2014」として発表した。

 この報告書では、電装システム20品目、情報機器5品目、デバイス&コンポーネンツ29品目、ECU1品目、ECU構成デバイス12品目の合計67品目を対象とし、市場の現状を分析し今後を予測した。

 対象とした電装システム20品目の2013年の市場は、前年比3.4%増の12兆7387億円となった。今後も各分野とも大幅な市場拡大が期待され、特に環境規制の強化によりパワートレイン系、HV/PHV/EV/FCV系、また搭載の義務化が推進されている走行安全系の拡大が注目されるという。25年の市場は13年比2.1倍の26兆5650億円になると予測した。

 最も市場規模が大きいのはパワートレイン系で、13年の市場は6兆5912億円となった。環境規制の強化、また燃費改善に向けて、今後も搭載が増加するとみられる。規制対策においては、運転状況に応じた最適で緻密な制御をするための研究開発が進められているとした。

 20年以降の環境規制をクリアするために、日本ではガソリンエンジン+ハイブリッドシステム、米国では変速制御の多段化、欧州ではダウンサイジングエンジン+マイクロハイブリッドシステムが推進されるとみられる。燃費改善は、エンジンのダウンサイジングとアイドリングストップシステムの搭載が有力視される。エンジンのパワーを補う機器やセンサの搭載が必要となるとした。

 HV/PHV/EV/FCV系は、最も急成長が期待される分野であり、25年には13年比6.1倍の4兆3276億円が予測される。HV/PHV/EV/FCVシステムは、エンジンに代わる新しい駆動システムのため、エンジンマネジメントシステムには無い特有のセンサなどの搭載が進むとみられる。開発途上のシステムということでコスト増が許容されていたが、今後は普及促進のためデバイスやコンポーネンツを最少にとどめた低価格システムの開発が進むと想定されるとした。

 走行安全系は、ADAS(先進運転支援システム)の高い成長を軸に市場が拡大するとみられ、25年には13年比2.0倍の3兆8642億円が予測される。ADASに低価格な車載カメラを利用して簡易かつ高精度を実現した緊急自動ブレーキの搭載が急速に拡大したように、走行安全系システムのさらなる普及には低コスト化が必要と考えられる。現状では各システムに同じセンサを複数個搭載する必要があるが、低コスト化のために、1個のセンサを複数のシステムに利用する提案が進められているという。(編集担当:慶尾六郎)