TOTOは2015年7月に、温水洗浄便座「ウォシュレット」の累計出荷台数が4000万台を突破したことを発表した。1980年6月に発売を開始してから35年という節目での大台達成となった。1000万台を突破するのに18年1カ月かかったが、対照的に3000万台から4000万台に達するまで、4年6カ月で達成した。
同社は消費者のニーズにきめ細かく対応して「ウォシュレット」を開発改良してきた。1999年には、水玉状の吐水により少ない水量でたっぷり感のある洗い心地を実現。2012年には、ポンプなどメカニカルな部品を使わず、水と空気の流れの制御だけで水玉吐水を可能にした。
発売当初の採用者は一般家庭が中心だったが、近年はオフィス、ホテル、商業施設などでの採用が増えている。内閣府の調査によると、一般家庭での温水洗浄便座の普及率は77.5%に達するとされる。家庭での導入が進んだことで、公共交通機関や商業施設などにも広がってきている。商業施設などでは、キレイで気持ちのいいトイレがないと“イメージダウンに繋がる”として、数年ごとに積極的に最新型トイレに入れ替えて、リニューアルを行なう施設が増えてきた。
内訳は非公表だが、4000万台のうち9割以上が国内向けとみられる。1986年には米国で発売。以降、欧州、アジア、オセアニアで展開しているが、メーカーにとっては、海外での販売拡大が今後の成長を左右しそうだ。海外での普及が進まなければ「ガラパゴス商品」となりかねない。
現在、TOTOでは海外の高級ホテルなどに納入を進めているほか、増加する訪日観光客に空港で体験してもらうといった取り組みで、外国人からの認知度を高めようとしているという。
競合のLIXILグループ(旧:INAX)も温水洗浄便座付きトイレを米国向けに改良した製品を、買収した米アメリカンスタンダードを通じ2014年に発売した。(編集担当:吉田恒)