高齢化社会の健康住宅のあり方を考える

2013年09月14日 19:21

 日本が直面している大きな問題の一つに、高齢化社会がある。平均寿命が長いということは、保健や医療、経済においても、国が高い水準にあることの証であり、決して悲観すべきものではない。とはいえ、少子化や生活習慣病などをはじめとする緒問題が重なることで、不安は煽られてしまう。そこで現在、単に寿命の長さだけではなく、いきいきと充実した毎日を送るために、様々な健康維持推進の動きが活発化してきている。

 例えば、厚生労働省では9月を健康増進普及月間とし、生活習慣病等の発病を予防する「一次予防」に重点を置いて、対策を推進する様々な活動を行っている。また、国土交通省も2007年から、生涯健康・生涯現役を実現するために「健康維持増進住宅研究委員会」を立ち上げて、新たな住宅環境やコミュニティのあり方を検討している。つい先月も第7回目となる健康維持増進住宅研究シンポジウムを開催し、健康を増進させるようなアメニティの高い住環境に関する研究会を開催したばかりだ。

 この住環境については、とくに国民の関心も高く、多くのハウスメーカーからも「健康住宅」という商品が発売されている。とくに、テレビなどのメディアでも度々取り上げられることから、シックハウス症候群に対する関心度は高く、その原因とされる「ホルムアルデヒド」と「クロルピリホス」の使用と、換気設備を規制する「シックハウス法」の基準数値を満たすものが多い。

 例えば、積水ハウス<1928>の「エアキス」は、ホルムアルデヒドをはじめとする5つの化学物質の室内濃度を国の指針値の2分の1以下を実現。今では同社の鉄骨戸建住宅の7割が「エアキス」仕様になっている。

 一方大和ハウス<1925>では、尿糖値・体温・血圧・体重などを計測し、健康数値をデータ化するインテリジェンストイレをTOTOと共同開発し、毎日の健康状態をトイレの時間を利用して手軽に行えるようにするなどの独自の提案を行っている。

 アキュラホームでは、住宅品質確保促進法に基づく住宅性能表示制度において、ホルムアルデヒド対策の最高等級の仕様を採用するほか、断熱性能や通風・換気に配慮されていることはもちろん、ケガをしにくく安全に暮らすための工夫や、ストレスのない家事動線づくりなど、性能以外の提案をも行っているという。

 高齢になればとくに、家の中で過ごす時間が長くなる。住環境がどれだけ快適かは、人生を長く元気に、楽しく暮らすためには、何よりも大切なこと。住宅を購入する年代ではまだピンとこないかもしれないが、デザインや間取りだけではなく、将来の健康のことも充分に考えたうえで選択したいものだ。(編集担当:藤原伊織)