女性はどんなときに「ときめく」のだろう。女性向けの商品やサービス、またはそれらのキャッチコピーなどによく使われる「ときめき」という言葉。とくに決まりがあるわけではないけれど、この言葉を使った途端、それが男性向けの商品ではなく、女性向けであることをアピールしはじめる。かわいらしさと明るさ、ワクワク感などを兼ね添えた魔法の言葉だ。
例えば、ショッピングモールでおなじみのイオングループ<8267>が発行しているイオンカード。これを使うと溜まるポイントが「ときめきポイント」だ。カードショッピングの利用代金200円(税込)ごとに1ポイントが溜まり、たまったポイント数に応じて商品と交換ができる特典がある。内容的にはどこにでもあるポイントカードの特典制度だが、「ときめき」という言葉を使うだけで、ターゲットが主婦層であることがよく分かる。交換できる商品のラインナップも、基本的には食品や健康美容グッズなど、女性を対象にしたものが大半を占めている。
住宅メーカー大手のパナホーム<1924>は2015年8月、住宅に関する独自のWEBアンケート調査を実施した。調査の内容は、まさに女性の住まいづくりにおける「ときめき」に関するもの。対象は、25歳から60歳代の女性で、過去3年以内に戸建て住宅の新築・建替えをした人、または今後する予定の計200人。結果は、82%の女性が住宅展示場に行った時や、新居の入居時に「ときめき」を感じたと回答した。また『新築の際にどんな「ときめき」を感じたか?』という質問に対しては、フリーアンサーで、「新しい家を想像して」が34人と最も多く、次いで「新居での生活を想像して」(25人)、「住まいの理想の実現」(16人)となった。
後は、「展示場を見て」「設備を見て」という回答が続くが、印象的なのは、女性の「ときめき」は目の前の現物よりも、未来の暮らしへ向けられているということだ。同社ではかねてより、住まいにおいて『先読み設計(R)』、『家事楽(かじらく)(R)』、子育て提案『KodoMotto(こどもっと)』などの生活者視点でのくらし提案を行っているが、これらは、カタログなどの販促物や展示場での実展示による訴求が中心だった。今回、同社では、前記の調査結果を踏まえ、女性をメインターゲットにして提案内容・方法を見直し、「ときめき」の感性に訴求する「トキメキフェア」を9月19日(土)から11月29日(日)まで開催している。同フェアでは、世代別に異なる「トキメキアイテム」を使用したり、映像やPOPで女性の感性に訴えかけるものとなっている。
男性はどうしても、目の前の現物商品やデザイン、実質的なスペックに興味を示し、「ときめく」が、女性の「ときめき」は未来に向けられている事が多いのではないだろうか。住宅に限らず、例えば家電や自動車にしても、ハイスペックを追い求めるだけでなく、女性目線で「ときめく」か「ときめかない」かを考えることが、販売促進における成功の秘訣かもしれない。(編集担当:藤原伊織)