ICT総研は、「2015年 有料動画配信サービス利用動向に関する調査」の概要をまとめた。
それによると、固定系光回線サービスやモバイル回線におけるLTEなど、高速ブロードバンドサービスの普及に伴い、インターネット経由で有料動画配信サービスを利用するユーザーが増加しているという。ネットで提供される映画、ドラマ、音楽など高品質な動画コンテンツが増えたことで、放送型の視聴からビデオオンデマンド(VOD)による利用も一般的となってきた。これまでの動画配信方式は、1本あたり数百円程度で視聴できるペイパービュー(PPV)方式が中心だったが、月額1,000円以下で大量の動画を見放題で提供する「定額見放題」サービスの利用者も急増しているとしている。
2014年末(12月末)時点の有料動画配信サービス利用者は790万人で、このうち定額制サービスの利用者数は過半数の420万人であった。15年末の有料動画配信サービス利用者は960万人となる見込みで、さらに18年には1,490万人にまで拡大すると予測している。特に定額制サービスの利用者増が顕著で、2018年には定額制サービス利用者だけで1,000万人を突破する見通しだとしている。
また、ICT総研が2015年9月に実施したWebアンケート調査の結果では、若年層ほどスマートフォンで動画を視聴する傾向が見られたという。有料動画配信サービスを視聴するデバイス(端末)を年代別に見ると、10?20代のユーザー層では、67%のユーザーがスマートフォンで動画を視聴していた。これに対して50代のユーザーはスマートフォンでの視聴は37%と少なく、パソコンでの視聴が75%と高かったとしている。
タブレット端末とテレビによる視聴はいずれの年代でも2割~3割程度で年代によって差が少ないことも明らかとなった。今後はスマートフォンの所有率が高年齢層でも高まることが見込まれるため、スマートフォンによる動画視聴の割合がさらに高まることは確実であるとしている。
また、高画質動画の視聴用デバイスが今後はパソコンからテレビに映っていくことも予想されるため、スマートフォンとテレビのそれぞれの視聴環境に適したサービスメニューを拡充することによって、さらに利用者数を増やすことが可能になると予測している。
アンケート調査の結果では、有料動画配信サービスで利用されている主なコンテンツは海外映画が49%と最も多く、次いで国内映画が44%、さらに海外ドラマ39%、アニメ34%、国内ドラマ29%となっている。
音楽ビデオなどの利用率は18%、趣味・エンタメが17%、スポーツ13%と映画・ドラマに比べるとやや少ないものの、これらのコンテンツはコアなファン層に視聴される傾向があり、動画配信サービスには欠かせない素材である。自分に適したコンテンツ利用を目的として動画配信事業者を選択するユーザーも少なくないため、映画、ドラマ、アニメ、音楽、スポーツなど多様なコンテンツを揃えるサービス事業者が今後は優位に立つものと見込まれるとしている。(編集担当:慶尾六郎)