【今週の展望】10月に入って+1050円の勢いで19000円タッチ?

2015年10月12日 20:31

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無残にボロボロにされた東京市場に、上昇のエネルギーがよみがえってきた。夏の終わりからのパラダイムシフトを「プチ」で終わらせることができるか?

 今週、10月第3週(12~16日)は、12日の月曜日が「体育の日」の祝日で休場になるので4日間の取引。世界の主要株式市場の休場日は、12日はアメリカの為替市場、債券市場が「コロンブス・デー」で休場するがNY市場やCMEは休まない。1492年10月11日にイタリア人のコロンブス率いるスペインの船隊が大西洋を横断してバハマ諸島サンサルバドル島(アメリカ大陸ではない)に〃到達〃した。カナダは「サンクスギビング・デー(感謝祭)」で休場する。アメリカの感謝祭は11月26日。ブラジルは「アパレシーダの日(こどもの日)」で休場。1980年の先々代のローマ法王ヨハネ・パウロ2世のブラジル訪問を記念して国民の祝日になった。14日はマレーシア、インドネシアが「イスラム暦新年」で休場する。イスラム暦では1437年1月1日になる。

 国内の経済指標は中旬の端境期でそれほど重要なものはない。13日は9月の消費動向調査(消費者態度指数)、工作機械受注、14日は9月の国内企業物価指数、マネーストック、15日は9月の首都圏・近畿圏新規マンション市場動向、8月の鉱工業生産指数確報値・稼働率指数、第三次産業活動指数が、それぞれ発表される。

 12日にノーベル経済学賞が発表される。1969年授賞開始で歴史は浅いが、日本人はまだ1人も受賞していない。13日に9月14、15日に開かれた日銀の金融政策決定会合の議事要旨が公表される。日本経済研究センターからESPフォーキャスト調査が発表される。16日に黒田日銀総裁が全国信用組合大会であいさつする。

 主要銘柄の決算発表は、2月期決算銘柄の3~8月期決算の発表が終盤。15日が東証の推奨期限になる。13日はタマホーム<1319>、ヤマダ・エスバイエルホーム<1919>、エスフーズ<2292>、キャンドゥ<2698>、ジェイアイエヌ<3046>、ジェーソン<3080>、住江織物<3501>、ホギメディカル<3593>、市進HD<4645>、リソー教育<4714>、竹内製作所<6432>、古野電気<6814>、ツインバード工業<6897>、コーナン商事<7516>、ガリバー<7599>、近鉄百貨店<8244>、東武ストア<8274>、東宝<9602>、アークス<9948>。14日はウエストHD<1407>、いちごGHD<2337>、ビックカメラ<3048>、ドトール・日レスHD<3087>、クリエイト・レストランツHD<3387>、レナウン<3606>、TSIHD<3608>、モバイルクリエイト<3669>、サイゼリヤ<7581>、松竹<9601>。15日はウエルシアHD<3141>、アデランス<8170>、文教堂GHD<9978>。 16日はブロンコビリー<3091>。

 新規IPOは約1ヵ月ぶりに再開し、1件ある。15日にAppBank<6177>が東証マザーズに新規上場する。東京が本社で、スマホアプリの紹介記事などを掲載するメディアサイト「AppBank.net」の運営、自社アプリや動画コンテンツの提供、スマホ、ゲーム関連商材のECサイトの運営、店舗販売などの事業を行っている。ゲーマーの間では「マックスむらい」氏が創業した会社として有名。公開価格は1200円。なお、同じ15日のWBFリゾート沖縄<6179>の「TOKYO PRO」マーケットへの上場で、機関投資家専用市場で一般の個人投資家は特別に許可でも得ていない限り売買できない。東証アローズでは鐘を鳴らすが、新規IPOにカウントしないのがふつう。10月の新規IPOは来週は2件、最終週は2件あり、全て東証マザーズ。その後に11月4日の郵政3社の上場が控える。

 海外の経済指標は、13日の中国の貿易収支はその日の上海市場に影響し、同じ13日のドイツのZEW景況感指数は「フォルクスワーゲン・ショック」の影響度が測れる。アメリカの14日の小売売上高、16日の鉱工業生産指数も、もちろん重要。

 12日はフランスの8月の経常収支、13日は中国の9月の貿易収支、ドイツ、英国の9月の消費者物価指数(CPI)、ドイツの10月のZEW景況感指数、14日は中国の9月の消費者物価指数(CPI)、生産者物価指数(PPI)、フランスの9月の消費者物価指数、英国の9月の失業率、ユーロ圏の8月の鉱工業生産指数、アメリカの9月の生産者物価指数(PPI)、小売売上高、15日はアメリカの9月の消費者物価指数(CPI)、10月のNY連銀製造業景気指数、フィラデルフィア連銀製造業景況感指数、16日はユーロ圏の8月の貿易収支、9月の消費者物価指数(CPI)、アメリカの9月の鉱工業生産指数・設備稼働率、10月のミシガン大学消費者信頼感指数、8月の対米証券投資が、それぞれ発表される。

 13日にアメリカの大統領選挙で民主党の候補者が出席するテレビ討論会がある。14日にアメリカのFRBが「ベージュブック(地区連銀経済報告)」を公表する。15日にインドネシア、韓国が政策金利を発表する。15~16日にブリュッセルでEU首脳会議が開かれる。16日にワシントンDCでオバマ大統領と朴槿恵大統領が米韓首脳会談を行う。

 アメリカ主要企業の決算は、13日にジョンソン・エンド・ジョンソン、JPモルガン・チェース、インテル、14日にバンク・オブ・アメリカ、ウェルズ・ファーゴ、ネットフリックス、15日にUSバンコープ、ゴールドマン・サックス、シティグループ、シュルンベルジェ、16日にGE、ハネウェルが発表する予定。

 10月に入ってから、東京市場の流れが変わってきた。9月30日から10月7日まで6連騰し、1日おいて9日も大幅高で高値引け。これで10月は7営業日で6勝1敗。+1050円の4ケタ上昇という好成績。8月、9月は「鬼」のように世界の金融マーケットをかく乱し続けた上海市場も、5日に中国人初の自然科学系のノーベル賞受賞者が出たのに気を良くしたのか、8日の再開後は人が変わったように落ち着いて連騰してくれた。

 2日の雇用統計が悪くてアメリカの利上げ先送り観測が強まり、NYダウが5日続伸して8日には17000ドル台を回復。かといって為替はそれほどドル安円高にはならず、小売業の決算もファーストリテイリング<9983>以外は心配されたほど悪くなかった。TPP交渉はなんとか合意にこぎつけ決着。国慶節休暇中に日本を訪れた中国人観光客の「爆買い」の勢いいまだ衰えず、ノーベル賞も日本人が2人受賞して明るいニュースを提供した。国内経済指標は良くない数字が続出したが、その分、7日に発足した第三次安倍改造内閣が打ち出す経済政策への期待や、30日に今月2回目の金融政策決定会合を開く日銀の追加緩和への期待が高まっている。

 悲観的な時は、物事は悪い方へ悪い方へ流されるが、楽観的な時は、物事は良い方へ良い方へ流れてムードが良くなるもの。ファーストリテイリングの決算が増益ながら市場予測に及ばない結果でも、9日はショックらしいショックにならず日経平均は大幅高で、打たれ強くなった。「これまで、株価は下げすぎた」という解説が聞こえること自体、市場心理の好転を物語る。病は気から、相場も気から。日米の「恐怖指数」は、8月24日に40.74まで上昇したアメリカのCBOE・VIX指数は8日は17.42まで下落し、8月25日に47.01まで上昇した日経ボラティリティ・インデックス(VI)は、9日は25.63まで下落した。日米とも8月中旬は10台だったのと比べれば、日本ではまだ恐怖は完全には払拭されていないようだが、だいぶ緩和された。