【今週の展望】遠くの2万円よりも近くの需給バランスの修復

2015年09月06日 20:24

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日経平均は2万円台ワールドから17000~18000円台ワールドに「プチ・パラダイムシフト」した。状況に合わせて、頭を切り換える時。

 今週、9月第2週(7~11日)は5日間の取引。11日は3ヵ月に1度の「メジャーSQ」算出日。オプション取引も先物取引も全て清算値を算出する。メジャーで規模が大きいのでSQ週の火曜日、水曜日(8、9日)の「鬼門」の度合いも大きくなるのがふつう。

 世界の主要な株式市場の休場日は、7日にアメリカとカナダが「レイバー・デー(労働者の日)」、ブラジルが「独立記念日」で休場する。11日はシンガポール総選挙の投票日で、休日扱いでシンガポール市場が休場する。

 国内の経済指標は、8日の景気ウォッチャー調査に8月の猛暑の影響がどう出るか注目。夏が暑いと本来は景気には良いが、暑さが度を超すと熱中症を恐れて人が外出しなくなり悪影響が出るといわれる。11日の法人企業景気予測調査は11月に速報値が発表される7~9月期GDPの先行指標的な意味あいを帯びており、悪いと政府が景気対策の政策措置を講じる期待が持てる。株価は結果よりも期待で動く部分のほうが大きい。

 7日は7月の景気動向指数速報値、8日は4~6月期の国内総生産(GDP)改定値、8月の景気ウォッチャー調査、9日は8月の消費動向調査、マネーストック、10日は7月の機械受注統計、8月の国内企業物価指数、東京都心部オフィス空室率、11日は7~9月期の法人企業景気予測調査が、それぞれ発表される。

 7日に経団連の榊原会長が記者会見を行う。日経新聞のアジア業種別PMIが発表される。10日にエルニーニョ監視速報が発表される。11日はメジャーSQ算出日。

 主要銘柄の決算発表は数が少ない。7日はピジョン<7956>、学情<2301>、アスカネット<2438>、OSGコーポレーション<6757>、3Dマトリックス<7777>、8日はイーブックイニシアチブ<3658>、ビットアイル<3811>、シーイーシー<9692>、丹青社<9743>、9日はアゼアス<3161>、菊池製作所<3444>、イハラケミカル工業<4989>、10日は積水ハウス<1928>、綜合臨床HD<2399>、テンポスバスターズ<2751>、佐藤食品工業<2923>、ドクターシーラボ<4924>、TASAKI<7968>、11日はエイチーム<3662>、丸善CHIHD<3159>、鳥貴族<3193>、メガネスーパー<3318>、稲葉製作所<3421>、モルフォ<3653>、フリービット<3843>、gumi<3903>、日本テレホン<9425>、東京ドーム<9681>が決算を発表する。

 今週の新規IPOは1件。東証2部を「鬼門」などと言うと、またイメージが悪くなってしまうが……。8日にJESCOHD<1434>が東証2部に新規上場する。東京が本社で日本国内、ASEAN諸国でEPC(設計、調達、建設の一括請負契約)事業や総合メディア事業を展開する。公開価格は540円。東証2部上場は今年は2勝2敗1引き分けで分が悪い。創業45年と社歴が古く黒字決算だが、純資産約7.9億円に対し資金吸収金額が約11.7億円と上回っている上に建設業は人気薄なので、地合いが悪ければ8月26日に黒星を喫した同じ2部の土木管理総合試験所<6171>の轍を踏む恐れがある。

 海外の経済指標は、8日の中国の貿易収支は前月分が悪かったので、下げ止まるか、さらに悪化するか大きな分かれ目。9日のアップルの発表会、10~11日のAPEC財務相会合も世界から注目されている。

 8日は中国の8月貿易収支、ユーロ圏の4~6月期域内総生産(GDP)改定値、アメリカの8月の労働市場情勢指数(LMCI)、10日は中国の8月の消費者物価指数(CPI)、工業生産者物価指数(PPI)、アメリカの8月の輸出入物価指数、7月の卸売在庫、卸売売上高、11日はアメリカの8月の生産者物価指数(PPI)、9月のミシガン大学消費者信頼感指数速報値、8月の財政収支、13日は中国の8月の小売売上高、鉱工業生産、都市部固定資産投資が、それぞれ発表される。

 9日にアップルがサンフランシスコで新製品発表会を行う。iPhone6s、iPad Pro、iPad mini 4、Apple TVなどがお披露目される見込み。9~10日にイングランド銀行(BOE)の金融政策委員会が開かれ、政策金利が発表される。9~11日に中国の大連で世界経済フォーラム・ダボス会議が開催される。10~11日にフィリピンのセブ島でAPEC財務相会合が開かれる。10日にニュージーランド、11日に韓国が政策金利を発表する。11日はシンガポールの総選挙の投票日。ユーロ圏の財務相・中央銀行総裁会合が開かれる。

 アメリカ主要企業の決算は、めぼしい企業では予定されていない。

 前週末4日に発表された8月のアメリカの雇用統計は、失業率こそ5.1%で市場予測の5.2%を下回って改善したが、非農業部門雇用者数は+17.3万人で市場予測の+21.7万人を大きく下回り、3月以来最低の伸びにとどまった。もっとも、6月、7月の数値が上方修正されて3ヵ月平均で+20万人以上のレベルをキープしたことと失業率の改善で、9月利上げ観測にトドメを刺すほどではなかった。株価にとっては失望感が出ながら利上げへの警戒も温存される最悪の結果で、4日のNYダウは16000ドル割れ寸前まで下げ272ドル安だった。為替レートはドル円118円台でリスク回避の円高がさらに進行し、CME先物清算値は17645円だった。

 終値ベースの前週の週間騰落を見るとNYダウは-3.24%で、上海総合指数(3日間)は-2.23%とだいぶ落ち着いてきた。それに対し日経平均の前週の週間騰落は今年最大のマイナス幅の1344.16円安で、-7.02%も下げている。地球上で東京市場だけがとりわけ大きく下げた1週間だった。