仮想サーバー上で稼働するアプリケーションの割合は50%以上

2015年10月27日 08:16

 IT専門調査会社 IDC Japanは、国内企業のITインフラにおける仮想化の実施状況に関する調査結果を発表した。この調査では、サーバー仮想化を実施している企業および組織を対象としたアンケート調査を2015年7月に実施し、516社から有効回答を得た。
 
 それによると、サーバー仮想化を既に実施している企業において、社内の全アプリケーション(PCやモバイルのアプリケーションは除く)のうち、仮想サーバー上で稼働しているアプリケーションの割合は平均で53.2%となった。2014年調査の49.2%から4ポイント上昇し、半数を超える結果となった。さらに、財務/会計管理システムや販売/顧客管理システムなど、基幹業務システムでのサーバー仮想化の導入率が2014年調査よりも上昇しており、仮想環境が拡大しているとしている。

 ネットワーク仮想化とストレージ仮想化の実施状況について調査した結果、サーバー、ネットワーク、ストレージ全てのITインフラリソースにおいて仮想化を実施している企業は28.3%になった。また、サーバーとストレージでの実施は16.1%、サーバーとネットワークでの実施は10.1%。一方で、サーバーだけ実施している企業は45.5%となった。

 つまり、半数以上の企業はサーバーのみの仮想化だけではなく、ネットワークあるいはストレージにおいても仮想化を実施している状況にあるという。2013年調査と比較すると、サーバー以外の領域での仮想化実施率が大きく上昇してした。このことから、IDCではITインフラ全体での仮想化が着実に進んでいると考えているとしている。

 ネットワーク仮想化による効果が大きかった上位3項目として、「ネットワークの設定作業負担の軽減」「ネットワークの冗長性/可用性の向上」「ネットワーク構成の柔軟な変更」を挙げた。また、多くの仮想サーバーを運用している企業では「VLANの拡張」が上位に挙がっている。ストレージ仮想化による効果が大きかった上位3項目としては、「ストレージ容量の有効活用」「ストレージコストの削減」「ストレージ管理の一元化」が挙げられている。

 IDC Japan ソフトウェア&セキュリティ リサーチマネージャーの入谷光浩氏は「仮想化技術がITインフラ全体に適用されることで、コスト削減効果だけではなく、管理の効率化や一元化、柔軟性や拡張性の向上など、その効果がより大きく発揮されるようになる。ユーザー企業は仮想化ソリューションの導入を行っていく際、ITインフラ全体の観点からネットワークとストレージの仮想化についても検討していくことが必要である」と分析している。(編集担当:慶尾六郎)