IT専門調査会社 IDC Japanは、国内ITサービス市場におけるベンダー競合分析結果を発表した。2015年3月期に主要ベンダー15社のうち、13社がプラス成長を遂げた。金融や製造分野における大型案件に加え、ITアウトソーシングの需要を捉えたベンダーが業績を伸ばした。
国内ITサービス市場において、2015年3月期に売上高が概ね1,000億円(IDC定義による)を越える主要ベンダーは15社となり、このうち13社で前年度比プラス成長となった。新日鉄住金ソリューションズとアクセンチュアの2社が二桁の前年度比成長率になったほか、5%以上となったベンダーは野村総合研究所、伊藤忠テクノソリューションズ、日本ヒューレット・パッカード、ITホールディングス、日立製作所を加えた7社となった。前年度に続き、市場が堅調に成長していることがうかがえますとしている。
産業分野別に見ると、分析対象とした金融、製造、流通、通信/メディア、政府/公共、その他産業の6つの分野のうち、金融、製造における売上が、主要ベンダーの売上に大きな影響を与えており、2015年3月期は、この二つの分野で売上を拡大したベンダーが多く見られた。金融ではメガバンクにおけるシステム統合やインフラ刷新に加え、顧客接点の強化を狙いとしたシステム投資などが幅広く進んだほか、製造では自動車/組立製造向け案件により売上を伸ばしたベンダーが目立った。
サービスセグメント別では、上記を反映し、SI(Systems Integration)やITコンサルティングなどを含むプロジェクトベースで売上を拡大したベンダーが多かった他、ITアウトソーシングにおけるシステム運用やデータセンターサービスでも売上を拡大したベンダーが多く見られた。
第3のプラットフォーム(クラウド、ビッグデータ/アナリティクス、モビリティ、ソーシャル技術)は本格的な普及期を迎えており、ベンダーには、第3のプラットフォームへの対応力がますます求められているという。IDC Japan ITサービス リサーチマネージャーの木村聡宏氏は「ベンダーは、人材育成を含め、第3のプラットフォームへの対応を急ピッチで進めるべきである。それと同時に、ベンダーには、第3のプラットフォームにおける新たなInnovative Industry Solutionの創出に向け、顧客企業や提携企業に働きかけ、共創の場をリードする役割も期待される」とコメントしている。(編集担当:慶尾六郎)