トヨタが公開した、Lexus GSをベースに改造した「Highway Teammate」は、自動車専用道路において入口ランプウェイから出口ランプウェイまで自動走行することを可能としている。実際の交通状況に応じて車載システムが適切に、認知・判断・操作することにより、自動車専用道路での合流、レーンチェンジ、車線・車間維持、分流などを実現した
トヨタ自動車は10月6日、高速道路上で車線変更や合流、追い越しを自動運転で行なえる市販車を2020年ごろに発売すると発表。トヨタ独自の自動運転の考え方は「Mobility Teammate Concept」であるとした。これまでトヨタは、自動運転につながる技術は「あくまでドライバーに向けた運転支援が目的」という立場だったが、ここにきて一歩踏み込む。コンピュータ大手やIT(情報技術)大手企業、半導体メーカーなどをも巻き込んだ自動運転車の実用化に向けた競争はより激しさを増しそうだ。
ホンダも2020年をめどに高速道路での自動運転機能を実用化する方針を決めた。高速道路での追い越しや先行車への追随などの機能を市販車に搭載する。日産自動車、トヨタ自動車に続きホンダが実用化をめざす時期を示したことで、国内大手の自動運転車の開発計画が出揃った恰好だ。
トヨタは従来、自動運転搭載車の製品化には慎重だった。が、技術的にハードルが低いとされる高速道路における自動化を手はじめに、一般道用まで含めた実用化を目指す。10月6日の発表では、「身体能力が衰えた高齢者、ハンディキャップのある人にも移動の自由を実現する」機能だとして開発を促進する考えだ。
実はトヨタ、1990年代から自動運転の研究をはじめており、2003年に発売した2代目のプリウスには、自動縦列駐車機能を搭載した実績がある。相当量の自動運転技術の蓄積があるとされる。同社が公開している自動運転「Mobility Teammate Concept」車は、他社と大きく変わらない。単眼カメラのほか、車体周囲に赤外線を発するレーザーレーダーなどを配置して周囲の交通状況をリアルタイムで把握し、収集したデータを人工知能が分析して、過去の走行データと照らし合わせ、合流や車線変更の可否を判断する。が、その先には、あっと驚くような技術が隠されているかもしれない。
ホンダは今年から一部車種で自動ブレーキや道路脇の歩行者への衝突回避などの機能をパッケージした「ホンダ・センシング」を搭載スタート。こうしたセンシング技術をベースに車載カメラやレーダー、制御コンピュータの性能を高めて自動運転を実現する。
ホンダと燃料電池車(FCV)の中核技術開発で提携する米ゼネラル・モーターズ(GM)は、2017年に高速道路で自動運転を実用化する計画を掲げている。ホンダはGMとの提携を自動運転にも広げるとして検討に入ったという。
ドイツのメガサプライヤーであるコンチネンタル社やボッシュ社、メルセデスやBMW、米ゼネラルモーターズなど自動車大手が、公道実験による制御技術の向上を急ぐ。また、米グーグルは既にステアリングのない“完全自動”のクルマをデモ走行させており、アップルコンピュータなどIT大手も自動運転に使うセンサーや地図情報技術の関連企業も開発を加速させる。コンサルティング会社の予測によれば、2030年までに自動運転関連産業が最大600億ドル(約7兆円)規模に膨らむとしている。
ただ、完全な自動運転車の普及には課題も多い。自動運転による完全自動運転では世界規模で法改正が必要。保険や責任の所在などの問題もある。(編集担当:吉田恒)