JALと日立がIoTと人工知能を活用した従業員満足度向上の共同実証実験を開始

2015年10月16日 08:16

 近年、従業員満足度への社会的な関心がますます高まっている。12月1日から、労働安全衛生法の一部改正に伴い、従業員数50人以上の事業所を対象として、事業者による労働者へのストレスチェックや面接指導の実施などを義務づける制度が施行される。

 また近年、内閣府が「主観的幸福感」を中心とする国としての幸福度指標を検討し、文部科学省では「ハピネス社会の実現」をめざす研究プログラムを推進するなど、ストレスの低減や幸福感の向上は社会全体の重要な課題の一つとして認識され、企業にとっても重大な責務となっている。こうした背景のもと日本航空(JAL)<9201>と日立製作所<6501>が、IoT(Internet of Things)と人工知能の技術を活用して、JALの従業員満足度の向上をめざす共同実証実験を開始する。

 実証実験は10月5日から約3カ月間実施される。JALの間接部門で働く従業員約80名を対象に、日立グループが開発したIoTデバイス(名札型ウエアラブルセンサー)を用いて従業員の身体運動を捉え、その身体運動の特徴パターンから、集団の活性度を定量的に算出した「組織活性度」と、従業員の属性や担当業務の特性、ワークスタイル変革施策の実施状況などのデータを組み合わせ、日立の人工知能を用いて分析を行う。日立の人工知能は、従来は人手で行っていた仮説設定・検証を自動化するもの。

 一方、JALグループでは、企業理念やJALフィロソフィの体現をめざしたワークスタイル変革に取り組んでいる。今回、「JALなでしこラボ」を設置し、さらにその取り組みを加速させている。JALグループは、ITツール導入などによる業務の効率化だけではなく、従業員一人一人が成長し、それにより得られる従業員満足度の向上をワークスタイル変革の最終的な目標としている。

 JALグループは実証実験の成果を、今後のワークスタイル変革推進において活用し、従業員満足度の向上に取り組んでいく。また、これまでJALグループが取り組んできた成果もあわせ、旅客業務をはじめとした直接部門の現場スタッフにおいて活用することで、顧客サービスの品質向上に役立てていく方針だ。(編集担当:慶尾六郎)