全面高で余裕の7ヵ月ぶり終値9500円台

2012年12月07日 11:00

 6日の東京市場は朝から好条件が揃っていた。前日のNYダウは、財政の崖をめぐる協議について共和党が富裕層増税で譲歩姿勢を見せてオバマ大統領が「1週間ほどでまとまる可能性あり」と発言したのを好感して82ドル高。為替はやや円安ドル高に振れ、大手新聞・通信社各社の総選挙情勢調査には「自民・公明で単独過半数」の予測が揃った。日経平均の始値は66.85円高の9535.69円で9500円台に乗せ、「今日こそは終値9500円台か」と期待させた。結局、最後まで9500円を一度も割り込むことなく、終値は76.32円高の9545.16円で、4月27日以来7ヵ月ぶりに待望の9500円台に乗せて終えた。売買高は20億株を超え売買代金は1兆1428億円。値上がり銘柄が1268で74.9%を占め、先物だけでなく現物にも買いが集まって小型株の値上がり率が14.78%と大きいのが特徴的だった。地合いの強さを背景に余裕を見せながらの9500円台で、過熱感を心配する声もあるが、明日以降も期待できそうだ。

 トヨタ<7203>、キヤノン<7751>、コマツ<6301>、ファナック<6954>など輸出関連株、建設、不動産などインフラ投資関連株、三菱UFJ<8306>など追加金融緩和に期待する金融株だけでなく、ソフトバンク<9984>など情報・通信、キッコーマン<2801>など食品、イオン<8267>など小売といったディフェンシブ系も幅広く買われ、東証33業種で下落した業種はパルプ・紙だけだった。下落したのはKDDI<9433>、DENA<2432>、クボタ<6326>、東京エレクトロン<8035>、日産<7201>、伊藤忠商事<8001>など。ファーストリテイリング<9983>は変わらず。

 今日の主役はシャープ<6753>。18円高で値上がり率7位。9803万株が売買され売買高はトップ。鴻海の郭董事長がクアルコムとの提携は「影響しない」と発言し、引き続き資本・業務提携交渉を進める姿勢を示して、春風がまた吹いた。共同開発を条件にクアルコムから約99億円の出資を引き出したことで、投資家はあらためてシャープの技術力の優秀さを評価している。同じく巨額最終赤字の苦境に立たされているソニー<6758>は27円高、パナソニック<6752>は2円高。春風はこっちの方にも吹くだろうか。