音楽コンテンツの保存メディアがレコード、カセットテープ、MD、CD へと変わっていく中で曲単位やアルバム単位で音楽を購入するというスタイルは過去100年以上にわたって維持されてきた。しかしここへきて定額制音楽配信サービスが爆発的に普及する兆しを見せており、音楽の楽しみ方が大きく変わろうとしている。このような中、定額制音楽配信サービス利用者数は2015年末930万人、2018年末に1,850万人へと倍増することがわかった。
ICT総研は、「2015年定額制音楽配信サービス利用動向に関する調査」の概要をまとめた。ICT 総研の需要予測では、2015年末時点で日本国内の定額制音楽配信サービスの利用者数は約930万人と推計される。そのうち毎月一定額の料金が発生する有料サービス利用者数は590万人となりそうだ。
また無料のお試しサービスなどを利用中の無料サービス利用者数は340 万人と見込まれるという。2016年末の時点では有料サービス810 万人、無料サービス480 万人で1,000 万人を大きく超える見込みだ。さらに2017年末には有料・無料サービス合計で1,610万人、2018年末には1,850万人へと急速に成長すると予測される。
ICT総研が10月に実施したWebアンケート調査の結果では、定額制音楽配信有料サービス利用者は136人(6.5%)、無料サービス利用者は99人(4.7%)であった。Webアンケートを実施した2,087人のうち11.3%にあたる235人が有料または無料の定額制音楽配信サービスを利用している。定額制音楽配信サービスのうち有料サービスでは20代の利用率が最も高く、無料サービスでは15~19歳の利用率が高い傾向が見られる。総じて年齢層が高くなるほど音楽配信サービスの利用率は低下する傾向が見られ、現時点では20~30代が音楽配信サービス市場を支えていると言えそうだとしている。
また、アンケート調査の結果では、Apple Musicの利用者が最も多く130人だった。続いてGoogle Play Musicが67人、LINE MUSIC 66人、AWA 48人、dヒッツ43人と続き、海外事業者のサービスも急速に浸透していることを示している。LINE MUSIC、AWA、dヒッツ(NTTドコモ)、レコチョクBest、うたパス(KDDI)などの国内事業者が販売するサービスは、Apple MusicやGoogle Play Musicよりも先に日本で開始されていたが、AppleとGoogleが今年からサービスを開始したことで利用者が激増し、一気に市場が伸び始めたようだとしている。
そして、Webアンケートの顧客満足度調査結果では、Google Play Musicが82.6ポイント(100点満点換算)、dヒッツが81.4ポイント、レコチョク Bestが81.3ポイントで顧客満足度が高い結果となった。続いてApple Musicが79.7ポイント、うたパスが79.2ポイントとなっている。AWAは76.5ポイント、LINE MUSICは72.6ポイントで上位のサービスとは若干差が生じているとした。
定額制音楽配信サービスは、月額数百円から1,000円程度の料金で様々な楽曲が聴き放題となるため、自分の好きなジャンルの曲をどれだけ網羅しているかがサービス選択時の重要な指標となる。世界的な音楽コンテンツの視聴方法は、コンテンツ購入から定額制聴き放題へと移行しており、この流れは止まりそうにないと。現時点で国内でのサービスが開始されていないSpotify(スポティファイ)などの大手海外事業者もあり、新規サービス参入事業者はさらに増加する見通しだとしている。(編集担当:慶尾六郎)