厚生労働省の調査でアルバイト学生の6割近くが労働条件通知書などの交付のないまま働いていたことが分かった。また6割の学生が労働条件などでトラブルを経験し、残業代不払いや休憩時間がないまま6時間を超えて就労するなど法律違反の案件もあった。9日、同省が発表した。
調査は学生アルバイトを巡る労働条件や学業への影響など課題を把握し適切な対策を講じるため、今年8月下旬から9月にかけ、大学生、大学院生、短大生、専門学校生に対して実施。1000人から回答を得た。
それによると、アルバイト先はコンビニが15.5%で最も多く、学習塾(14.5%)、スーパーマーケット(11.4%)、居酒屋(11.3%)の順で多かった。
労働条件を書面で示していたかどうかでは58.7%が書面交付していなかった。中でも、口頭でも具体的な説明を受けた記憶がないという回答が19.1%に上っていた。
労働基準法第15条は「使用者は労働契約の締結に際し、労働者に対して、賃金、労働時間その他の労働条件(労働契約の期間に関する事項、就業の場所及び従事すべき業務に関する事項、所定労働時間を超える労働の有無に関する事項など)を書面で明示しなければならない」としている。
また、トラブルでは準備や片づけの時間に賃金が支払われなかった(13.6%)、1日に労働時間が6時間を超えても休憩時間がなかった(8.8%)、実際に働いた時間の管理がされていない(例えばタイムカードに打刻した後に働かされたなど)ものが7.6%、時間外労働や休日労働、深夜労働について、割増賃金が支払われなかった(5.4%)、残業の賃金が支払われなかった(5.3%)などがあった。
学業への支障では「試験の準備期間や試験期間に休ませてもらえない、シフトを入れられた、シフトを変更してもらえなかった」などのために授業を受けられなかった、試験結果に影響をうけたなどがあった。
困ったときの相談先では知人・友人が最も多く(32%)、次いで家族(23.6%)、インターネット(10.1%)、学校や職場の先輩(9.6%)と続いた。
労働法令などの周知方法では(1)大学など入学時のガイダンスでの説明や講演会の開催 (2)アルバイト情報誌やそれらのウェブサイト上での周知(3)高校や大学の授業で教えるなどの提案があった。また「雇用の際に使用者に国が定めた形式の書面を交付させる」という提案もあった。(編集担当:森高龍二)