深刻なキプロス経済、天然ガスで復興なるか

2012年12月07日 11:00

 トルコの南方に位置し、四国の半分ほどの面積であるキプロス。2012年8月の観光客数が前年同月比7.9%増の36万3573人となるなど観光業がメインの同国は、2004年にEUに加盟。東地中海に位置し、ヨーロッパ、アジア、アフリカの接点という地理的な利点を持つことから外国投資を誘致しており、法人税についてはEUの中で最も低い税率(10%)となっている。

 この立地の良さと低税率からキプロスは、2011年末時点で100総トン以上の船舶について世界第10位の船籍国となるほど、海運業が活発である。その為、船舶管理会社などにとってキプロスは主要拠点に位置付けられており、造船業が陰り始めた日本企業も進出をしている。

 近時では古野電気のギリシャ子会社フルノ・ヘラスが、キプロス市場における同社製品・部品の販売およびアフターサービスを行うフルノ・キプロスを設立。商船向けを中心に「フルノ・ヘラス」と一体となった事業展開を図ることで、同地での販促活動の強化と充実した技術サービスの提供を通じた顧客満足度の向上に努めるとのこと

 ギリシャ国債のPSIによる債券交換に応じたため、金融・財政は深刻な状況になり、2012年6月、EU及びIMFに支援要請を行ったキプロス。これを受けた支援内容に関する協議は現在も継続中である。また、2012年第2四半期の歳入は前年同期比9.7%減の15億90万ユーロ、GDP成長率も前年同期比2.3%減となる見込みである程、好調とは言い難い状況にある。一方、キプロス政府は、同国EEZ内ブロック12の天然ガス埋蔵見込量が5兆~8兆立方フィートである旨を発表しており、長期的な経済発展の将来性に期待も集まっている。低調な状況から脱し、海運業や観光業だけでなく、経済の底上げを出来るのか。今後最も注目すべき地域の一つと言えるのかもしれない。