「夢の次世代航空機」から一転、日本の関連企業にも波紋広がる

2013年01月21日 19:44

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ボーイング787型機の相次ぐトラブルに対して米連邦航空局(FAA)は1月16日、同機を保有する各航空会社に当面の運航見合わせを命じた。

  ボーイング787型機の相次ぐトラブルに対して米連邦航空局(FAA)は1月16日、同機を保有する各航空会社に当面の運航見合わせを命じた。さらに1月18日にラフード米運輸長官が「安全性が1000%確実になるまでは運航を許可しない」と明言。そしてボーイング社では同じ18日にFAAの承認が得られるまで、今後の787型機の納入を停止することを明らかにした。

  一方、1月16日にメイン電源のバッテリーからの発火により高松空港に緊急着陸した全日空(ANA)<9202>のボーイング787型機について、米国からの調査チームを交えた日本の運輸安全委員会は、18日に調査を終了。問題のバッテリーとその周辺機器に関しては東京に持ちかえって、さらに詳しい調査をすることになった。

  ボーイング787型機のバッテリーをめぐるトラブルの原因究明には、さらに時間がかかることがはっきりし、すでに全世界で運航している50機(ANA17機/JAL7機)の運航は当分見こめない。また順次納入予定だった800機以上のバックオーダーについても、納入の予定は立てられない。米ワシントン州とサウスカロライナ州の2か所の工場での組立て計画には今のところ大きな変更はないというが、安全対策に時間がかかれば生産計画にも影響が出てくることは必至だ。

  特にボーイング787型機は使用部材、部品のおよそ35%が日本メーカーによるもので、「準国産機」といわれるほど日本企業が関わっている。機体の大半に使用されるCFRP(炭素繊維強化プラスチック)は東レ<3402>が供給。胴体前方部分は川崎重工業<7012> 、主翼は三菱重工業<7011>、中央翼は富士重工業<7270>が製造を担当し、フライトデッキのインテリア、厨房などはジャムコ<7408>、機内の音響はパナソニック の関連会社が関わっている。そのほか電気系の装置、制御系で参加している日本企業も多く、問題のリチウムイオンバッテリーも日本のGSユアサ<6674>製だ。

  こうした「787関連」の企業は、度重なるトラブルが報じられるようになった2013年に入ってからの株価の動きがのきなみ重い。月産5機ペースでの生産計画にくるいが生じれば、市場で嫌気されるだけではなく、実際の部材、部品の納入にも関わってくることは必至。また日本の物づくりの象徴としても期待されていた「ドリームライナー」だけに、今後の進展によっては日本のイメージにも関わる。国産旅客機の評価にも暗い影を落とす可能性がある。ボーイング787の問題は日本にとっても大きな問題で、迅速な原因究明と正確な対策が望まれる。(編集担当:帯津冨佐雄)