政府は「在宅勤務」や「テレワーク」を後押ししようとしている。主な要因は、インターネット環境の整備や、ワークライフバランスの推進だ。場所や時間にとらわれない働き方の導入が進むと、企業のオフィス立地にはどんな変化が求められるのか。ザイマックス不動産総合研究所(東京)が全国の企業を対象に調査したところ、ITツールを使った「モバイルワークの導入・検討」に取り組む企業は約6~7割に達し、中長期的には約8割が前向きな取り組みの意向を示していることが分かった。一方、在宅勤務を導入している企業は2割にとどまっている。
対象は、ザイマックスグループの管理運営物件のオフィスビルに入居中のテナント企業、またはザイマックスエステートデザインの取引先企業、合計3610社。うち1137社から回答があった。
オフィス利用に関して「今後の意向」を複数回答で聞いたところ、最多はオフィス以外の場所でメールやスケジュールがチェックできる「モバイルワークの活用」(83%)。現在でも7割が実施しており、もはや当たり前になりつつあるようだ。
次いで「社外から会社のサーバーにアクセスできるIT環境の活用」(現在の導入率61%→今後の導入意向77%)、「モバイルワークができるよう、従業員にノートPCやタブレットなどを支給」(同65%→77%)。これらの結果からは、仕事と家庭の両立支援やワークライフバランスの推進というより、オフィス外でも24時間仕事ができるように、との雰囲気も感じられる。育児や介護などに携わる社員にとって有効とされる「在宅勤務」を導入している企業は2割にとどまり、今後の導入意向も4割だった。
厚労省は約10年前、在宅勤務やテレワークの導入・実施のためのガイドラインを制定。7年前に改定している。テレワークの普及促進にかかわる目標を掲げた「テレワーク人口倍増アクションプラン」や、「仕事と生活の調和推進(ワークライフバランス)のための行動指針」などが策定されたことを受けて、在宅勤務の普及促進に取り組む姿勢をみせる政府。だが、多くの企業では、まだまだ全面的な導入とまではいかないようだ。(編集担当:北条かや)