三連休明けのNYダウはデュポンや保険大手トラベラーズの好決算もあり3日続伸し62ドル高。23日朝方の為替レートはドル円88円台後半、ユーロ円118円台前半と円高が進行し、90円、120円の大台が遠のいた。円高の要因は前日の金融政策決定会合の結果への失望感で、特に無期限・無制限の追加緩和を「2014年から」と1年先送りにしたのが評判が悪い。東京市場も、不本意まではいかなくてもすっきりしない「モヤモヤ感」を引きずったまま23日の取引が始まった。
日経平均始値は134.33円安の10575.60円と10600円を割り、その後も前場は10600円台、後場はアジア株の軟調で一段下げて10500円台でくすぶる。政府が月例経済報告で景気判断を8ヵ月ぶりに上方修正しても反応せず、大引け直前には10500円も割り込んで222.94円安の10486.99円と安値引け、3日続落で終えた。TOPIXも900を大きく割り込み887.79。24日朝のアップル決算待ち、貿易統計待ちで様子見という事情もあるが、材料出尽くしで利益確定売りが出て、よく言われてきた「日銀会合後、円高・株安に折り返す」という話が思い起こされる。
業種別騰落率は全業種マイナス。比較的良かったのは空運、情報・通信、食品、電力、陸運などディフェンシブ系で、悪かったのは下から海運、証券、紙パルプ、保険、鉄鋼。輸出関連株は後場に下げ幅を拡大し、政府・与党が2015年10月に自動車取得税を廃止する方針を打ち出してもトヨタ<7203>は85円安、日産<7201>は24円安、ホンダ<7267>は55円安と、自動車株はさえなかった。電機株はソニー<6758>、パナソニック<6752>は売られたが、シャープ<6753>は3円高。連結営業利益3割減と報じられたTDK は135円の大幅安で3日続落し、同じアップル関連銘柄の村田製作所<6981>も下げた。ファナック<6954>は250円安で14000円台を割り込み、570円安のファーストリテイリング<9983>、320円安の京セラ<6971>とともに日経平均を45円も押し下げた。
全面安でも堅調だったのが地方銀行で、千葉銀行<8331>が11円高、横浜銀行<8332>が2円高、ふくおかHD<8354>が6円高。「iPhoneがスマホシェアで2~3割を占めるなら扱いを検討したい」と加藤薫社長が話したNTTドコモ<9437>、決算が好調だったセントラルスポーツ<4801>、1株を100株にする株式分割を発表した100円ショップのキャンドゥ<2698>、15日連騰のモスフードサービス<8153>など、上昇は内需系が多かった。
京大がヒトiPS細胞から腎臓細胞を作るのに成功し、ナノキャリア<4571>などバイオ関連銘柄にストップ高銘柄が続出したマザーズやジャスダックは活況で、先物主体に売り一色の東証1部とは全く別の世界だった。
今日の主役は「昭和レトロな低位株」。売買高2位、売買代金5位に入ったミヨシ油脂<4404>、値上がり率1位、売買高3位に入ったティアック<6803>、売買高7位に入ったアツギ<3529>とも、昭和の時代には石鹸で花王<4452> 、オーディオ製品でパイオニア<6773>、ストッキングでグンゼ<3002>と張りあったブランドだった(ミヨシ油脂は現在、石鹸事業は分社化)。それぞれ終値は178円、75円、119円と100円台か2ケタの低位株で、小型株の取引が活発で東証1部売買高が33.7億株もあったこの日、売買高、売買代金のランキング上位に、メガバンクや大メーカーを押しのけて堂々と進出した。低位株を特集したマネー雑誌は書店で売り切れ続出というが、中高年のにわか個人投資家がお勧め低位株リストを眺めて、「ここの商品を昔、使ってた」と株を買って、売買が膨らんだのだろうか?(編集担当:寺尾淳)